日本一になれなかった仙台育英・郡司 世界一への挑戦に注目

[ 2015年8月26日 09:40 ]

仙台育英・郡司

 今夏甲子園で準優勝した仙台育英(宮城)。決勝で東海大相模(神奈川)に6―10で敗れ、東北勢初優勝の快挙はならなかったが、最後の最後まで球場のファンを沸かせた。

 「扇の要」という表現がぴったり当てはまる選手がいた。「4番・捕手」の郡司裕也選手だ。千葉出身ながら「東北は第二の故郷」というほど、宮城への地元意識は人一倍強かった。

 郡司の凄さを際立たせた、2つの盗塁阻止があった。

 滝川二(兵庫)との2回戦。初回、50メートル5秒9の俊足を誇る1番・根来の出塁を許した場面では、次打者の初球に二盗を阻止した。初球にフォークを要求した配球について「足を使ってくることは分かっていた。エンドランを仕掛けられた時に、空振りを取って二塁で刺すイメージだった。(佐藤)世那のフォークを初めて見る打者は空振りしてくれるかなと」。結果は狙い通り、打者が空振りした。

 3回戦の花巻東(岩手)戦では、1点リードの9回1死一塁から二盗を刺した。2ストライクから直球を見せ球にし、1ボール2ストライク。一塁走者は変化球(フォーク)を投げるカウントと読んだ。三振を狙うフォークなら投球がワンバウンドする可能性も高いと見て、スタートを切った。4球目、郡司の要求は外角直球だった。得点圏に同点の走者を進められればプレッシャーがかかる場面で、冷静に走者を刺し「普段はやらないですけど、ガッツポーズが出ちゃいました」。

 滝川二戦では左越え本塁打をマーク、決勝では3回に右前タイムリーを放つなど、4番打者としての働きもこなした。

 激闘から3日後。日本代表の一員として再び大阪に戻った。「疲れですか?全然残っています」と笑いながら、日本代表でも正捕手としての期待がかかる。日本一は届かなかったが、世界一をつかむチャンスは残っている。清宮やオコエばかりが目立つ日本代表だが、郡司のリードにぜひ注目してもらいたい。(川島 毅洋)

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2015年8月26日のニュース