“選手を壊すな”高田GM禁止令も…中畑監督 掟破りノック

[ 2014年2月2日 05:30 ]

掟(おきて)破りのノック!自らバットを握った中畑監督

 まさかの行動に周囲は目を疑った。「あれ?監督がバットを持ったぞ?」。正午前のことだ。三塁側のファウルゾーンでDeNA・中畑監督がおもむろにノックバットを握った。素振りを始めると、もう我慢できない。ブランコ、バルディリス、多村、金城の4人を指名。自粛するはずだったノックは初日から解禁された。

 20分間で130球。最初はバントのしぐさをしたり、2度の空振りの後に右手で球を投げつけるなど和やかな雰囲気だった。外国人選手には「ノーダイブね」と呼びかけていたが、15分を過ぎると目の色が変わり、打球も鋭くなっていった。

 「ファインプレーじゃないと終わらないぞ!」。気づけば、ブランコもバルディリスもダイビングキャッチを繰り返し、ユニホームは真っ黒。我に返った指揮官は「アイムソーリー!(高田繁)GMいないよな?これでケガさせたらクビになる」と表情をこわばらせた。

 1月8日に頸椎(けいつい)ヘルニアの手術を受け、無事成功。「全員にノックしたい」と意欲を示していた指揮官だったが、20日のスタッフミーティングでは、故障のリスクが伴うダイビングキャッチが多いために「選手を壊さないでほしい」と非情通告を受けていた。31日も「メニューにはない。自主トレしてこれでいけるとなってから」と自粛する考えを明言したが、本能は抑えられなかった。

 巨人の現役選手だった79年秋の伝説の伊東キャンプ。長嶋監督がノッカーを務めた守備練習は壮絶だった。「何度も意識が飛びそうになって、“チクショー”って長嶋さんめがけて球を投げていた。でも特別な絆が生まれるんだよ」。以来、ノックには深い思い入れがある。

 中畑監督の標的になったブランコは「本当に光栄。ダイビング(キャッチ)は足がもつれただけ」と豪快に笑った。指揮官も「ノックでダイビングさせないと思っていたけど、気分よくなってやってしまった。あす以降もやっていこうと思う。選手が嫌がると思うけど」とノリノリだ。勝負の3年目。ノッカー・キヨシの本領発揮はこれからだ。

 ▼DeNA・高田GM(中畑監督のノックについて)俺はノックを禁止していない。ダイビングキャッチを見せるノックをして喜んでいるようじゃダメだと言ったんだ。大げさになっちゃダメだけど、ノックするために手術したのだから、やってもらうのは構わない。

 ≪中畑監督の春季キャンプの鬼ノック≫

 ☆12年 就任1年目にして、初日からノックを披露。国吉、須田ら投手陣に約50本を打ったが、自己採点は「芯に当たっていない。点数は10点」と控えめ。2日目にはインフルエンザに感染し、全快後もノックは封印された。

 ☆13年 2日目の全体練習後、ドラフト1位で駒大の後輩・白崎を相手に、約40分のノック。際どい球にも飛びつく白崎に対し「向かっていく雰囲気が俺に似ているな」と高評価。自身もインフルエンザに苦しんだ前年の因縁をぬぐい去り「きょうは120点」と、ご機嫌だった。

続きを表示

この記事のフォト

2014年2月2日のニュース