ポスティング重要局面 楽天社長が12球団代表者会議に異例出席

[ 2013年12月4日 05:30 ]

多くの報道陣に囲まれ引き揚げる楽天・立花陽三球団社長

 プロ野球の臨時12球団代表者会議が3日、都内の日本野球機構(NPB)事務局で開かれ、大リーグ側との間で交渉が難航しているポスティング・システム(入札制度)の新制度案について意見集約を行った。新制度が成立した場合に大リーグ移籍の可能性がある田中将大投手(25)が所属する楽天は、立花陽三球団社長(42)が異例の出席。田中の移籍実現には、今週中の日米合意が大きな鍵を握ることになりそうだ。

 いつもは歯切れの良い立花社長の様子が違っていた。取り囲んだ報道陣に何度も「きょうは本当にごめんなさい。申し訳ない。話せないです」と繰り返し、帰路を急いだ。この日は失効中の入札制度の新制度成立へ向けた、日本側の案がとりまとめられたが、米側との交渉を控え完全なかん口令が敷かれた。立花社長は「あと数日で…」と言葉を切った後「しかるべきタイミングでちゃんとお話しします」とするのが精いっぱいだった。

 代表者会議、実行委員会を含めて立花社長は初出席。12球団を見渡しても、球団社長の参加は極めて異例だ。井上智治オーナー代行、米田純取締役連盟担当がいながら出席した理由について、井上オーナー代行は「直接情報を確認した方がいいということです」と説明。田中と去就の交渉にあたる立花社長自ら、日本がどういう姿勢で米側と交渉を進めるか、そして日本側として合意できる最低条件のラインなどの確認を行ったとみられる。

 新制度が成立しなければ、田中の来季のメジャー移籍は実現しない。ある球団関係者は「重要局面を迎えている」と話した。米側は9日(日本時間10日)からFA選手との交渉が活発化するウインターミーティング(フロリダ州オーランド)が始まるため、各球団は田中の米移籍の実現性をその前に確認したいと考えている。井原敦事務局長は「期限を区切ると交渉に制限が出る」と語った。ただ、交渉が長引けば、いったん白紙に戻し、制度の意義などの本質から話し合いを進める可能性も出てくる。つまり、今週中の制度成立が今オフの田中のメジャー移籍に影響を及ぼすことになりかねない。

 旧制度は高額な落札額が米球界で問題視され、昨年12月に更新されずに失効となった。新制度交渉では、11月下旬にNPB担当者が渡米してニューヨークで2日間協議したが、合意に至らなかった。米全球団の合意形成を得るには、入札金の負担を抑える方策が必要になる。ニューヨークの話し合いで出た入札金の分割払いや、上限制を含めて、双方の歩み寄りが必要になる。

 田中の夢をかなえる早期の制度成立はなるのか。米側との電話交渉はすぐに始まる。

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2013年12月4日のニュース