西武 栗山 プライドの決勝弾!2度の頭部死球乗り越え「プロですから」

[ 2013年10月3日 06:00 ]

<西・ソ>8回無死、勝ち越しソロアーチを放ち、ガッツポーズをする栗山

パ・リーグ 西武2-1ソフトバンク

(10月2日 西武D)
 執念で白星をつかみ取った。西武は2日、1―1の8回に主将の栗山巧外野手(30)が右越えに決勝の12号ソロを放ち、ソフトバンクに競り勝った。この結果、3位のソフトバンクとは1ゲーム差、2位のロッテには2ゲーム差にまで迫った。3チームによるクライマックスシリーズ(CS)出場を懸けた負けられない戦い。西武が後方から一気にラストスパートをかける。

 これ以上ない最高の仕事をやってのけた。1―1の8回。右翼席に決勝のアーチをかけた栗山主将は、力強く拳を突き上げてダイヤモンドを一周すると、ベンチで迎えた片岡とがっちり抱き合った。

 「とにかく塁に出ることだけを頭に入れて、振り抜いた。こんな形で決められるとは」と白い歯をこぼした。

 負ければCS進出が遠のく大一番。だが栗山は、3回に先制点を奪ってなおも2死二、三塁の好機で左飛に倒れていた。「きょうも得点圏で打てなくて。それでもいいことがあると思って辛抱した」。その悔しさを8回の第4打席にぶつけた。

 開幕から1試合を除き不動の3番。しかし9月は極度の不振に陥り、月間打率は・171まで落ち込んだ。「どうやったら1本出るのか」。フリー打撃では素手でバットを握り感触をじかに確認したほか、運が良さそうな関係者と握手をしてから出陣するなど、なりふり構わず験担ぎまで行った。9月25日の楽天戦、同29日のロッテ戦(ともに西武ドーム)では相次いで頭部に危険球を受けた。それでも「僕は命を懸けて打席に立っている。僕はプロですから」とプライドで恐怖心をはねのけた。

 不振で悩んでいた栗山を楽にしたのは、片岡、中村ら、故障から戦列復帰してきた08年の日本一メンバーの存在。これまでは主将として、けん引役を一手に引き受けていたが「片岡さんやおかわり(中村)が帰ってきて、気持ち的にも助けられた」という。昨年の今頃は、左尺骨骨折の修復手術を受けてリハビリの真っ最中だった。「あの時期は何も力になれなくて自宅でテレビを見ていた」。だが今年は安打が出なくても、グラウンドに立てる喜びがある。

 これで3位ソフトバンクとは1ゲーム差、2位ロッテにも2ゲーム差に迫った。3日もソフトバンクに勝てば、ついに3位に浮上する。勢いは西武にある。

 ▽西武のCS進出 西武は07年のCS制開始から、6年間で4度進出(08年優勝、10年2位、11年3位、12年2位)。特に終盤までもつれたのが11年。9月上旬の最下位から巻き返して3位オリックスと1ゲーム差まで迫り、10月18日の両チーム最終戦へ。西武が日本ハムに勝ち、直後にオリックスがソフトバンクに敗れたため、勝率1毛差で6月以来の3位浮上。大逆転進出を果たした。

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