バレ ノムさん&落合に並んだ52号 小川監督「いかに我慢できるか」

[ 2013年8月31日 06:00 ]

<ヤ・D>4回1死、ソロ本塁打を放ったバレンティンにベンチの宮本(右から2人目)らも大喜び

セ・リーグ ヤクルト8-2DeNA

(8月30日 神宮)
 ストライクが来なければ、バットが届くボールを打てばいい。ヤクルト・バレンティンが放った野村克也、落合博満に並ぶ歴代5位の52号は、驚がくの一発だった。

 「記録が近づけば近づくほどいい球は来ない。きょうも1球くらいだと、試合前から心の準備はできていた。その1球を打ち損じなかった」

 4回の第3打席までは2連続四球。1、2打席で要した10球のうち、2球スイング(ともに空振り)したが、いずれもボール球で、ストライクゾーンに来た球はゼロだった。3打席目の初球も低めへのボール球。一瞬、苦笑いを浮かべたが、2球目の内角低めのボール球のシュートに反応した。ぐしゃっとバットが鈍い音を立てて折れたが、「バットの先だったが、強いスイングで叩けた」と左翼席に運んだ。

 試合前まで今季DeNA戦は13試合、計58打席でセ・リーグ5球団の中では最多の20四球。「DeNAの投手は俺のことを怖がっているから、勝負してくれるかどうか。1球(ストライクを)投げてくれば仕留めるよ」と話していた通り、まさに「一撃必殺」だった。

今季52本のアーチのうち、24本はファーストストライクを捉えたもので、集中力も際立つ。

 伊勢ヒッティングコーディネーターは昨年までと違い、上げた足を踏み込む際に前に突っ込んでいないという。「だから安定したポイントで打てている。その典型が張本勲であり、若松勉」と球史に残る巧打者との共通点を指摘。今季限りでの引退を決めた宮本も「スイングが小さくなり、ポイントが近くなっている」と進化を認める。

 今月18本目と自身の月間記録を更新。この日に56歳の誕生日を迎えた小川監督は「四球がついて回る中でいかに我慢できるか」と話し、バレンティンは「(歴代5位も)素晴らしい順位だと思うけど、自分は1番が好きなので一番上を目指していくよ」と頂点を見据えた。もはや、プロ野球新記録のシーズン56本塁打も時間の問題だ。

 ≪ソーサに並ぶ月間20号挑戦≫バレンティン(ヤ)が52号。シーズン52本以上は史上7人目で63年野村(南海)、85年落合(ロ)に並ぶ歴代5位タイに浮上した。またチーム114試合目での52号は02年カブレラ(西)の123試合目を9試合縮める最速記録だ。これで8月は18本目で自身の持つ月間最多記録を更新した。大リーグではサミー・ソーサ(カブス)が98年6月に放った月間20本が最多となっており、きょうのDeNA戦でバレンティンが上乗せできるかに注目だ。なお、バレンティンの今季神宮での本塁打は32本目。64年王(巨)が後楽園でマークした同一球場でのシーズン最多記録に並んだ。

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