野村 甲子園リベンジ勝 07年夏“がばい佐賀北”に負けた決勝以来

[ 2013年8月31日 06:00 ]

<神・広>目がハートのスラィリーとカメラに向かってポーズをとる野村

セ・リーグ 広島3-0阪神

(8月30日 甲子園)
 「あの夏」の苦い記憶を払しょくし、広島・野村がヒーローになった。07年夏の甲子園決勝以来のマウンドで8回を3安打無失点。新人王に輝いた昨季に並ぶ9勝目を挙げた右腕は「(相手に)向かうという気持ちをうまく出せている」と充実感を口にした。

 序盤から持ち前の制球が光った。味方打線が先制した2回は1死満塁で自らのバットで右前に打ち返して追加点。リードしたことで気持ちに余裕が生まれて大胆にコースを突き、打ち気にはやる阪神打線を手玉に取った。最大のピンチは5回2死一、三塁。代打・福留を内角の139キロ直球で見逃し三振に仕留めると、普段は冷静な24歳がマウンド上で吠えた。

 6年前の夏、広陵のエースとして臨んだ決勝の佐賀北戦。リードしていた8回に押し出し四球と満塁本塁打でひっくり返された。高校野球中継を見て当時を思い返すことはあるが、その時の映像は見ない。この日の試合後も「思い出しません。高校野球とプロ野球は違うし“あれ”以来とは知っていましたが、あまり…」と言った。

 準優勝で終えた大会。相次いだ微妙な判定に対して、広陵・中井哲之監督が不満を口にし、高野連から厳重注意を受けた。自分とチームメートを守るかのような恩師の発言。だから野村も軽々しくコメントはしない。「高校の時から(球場が)新しくなり、新鮮な気持ちでできた」。プラス思考を心掛け、阪神から初勝利も奪った。

 高校時代に悔し涙を流した「悪夢の8回」を乗り越えての勝利で、8月は4勝無敗。野村監督が「最後までいってほしかったが、本人が任せますと言うから(交代させた)」と持ち越しになったプロ初完封も、そう遠くはないだろう。

 ☆07年夏の甲子園決勝 (8月22日 甲子園)
広 陵
 020 000 200─4
 000 000 05X─5
佐賀北
 (広)野村―小林
 (佐)馬場、久保―市丸
 [本]副島(佐)

 ◆広島・野村の07年甲子園決勝VTR 広陵(広島)3年夏の07年8月22日、佐賀北戦に先発。7回まで1安打無失点も、4点リードの8回に連打で1死一、二塁とされると、微妙なコースをボールと判定され連続四球。押し出しで1点を与え、さらに逆転の満塁本塁打を浴びた。準優勝に終わった試合後には、広陵・中井哲之監督が痛烈に球審を批判。日本高野連から厳重注意処分を受ける異例の事態に。野村本人は「審判がボールと言えばボール」とだけ言い残して聖地を去った。

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