斉藤コーチ 妻スザンヌ気遣う「つらい思いや悲しい気持ちになっていたと思う」

[ 2013年7月30日 06:00 ]

退団会見で涙を流す斉藤コーチ

 涙が次々とあふれ出た。右肩の故障から復活を目指していたソフトバンク・斉藤和巳リハビリ担当コーチ(35)が29日、ヤフオクドームで現役復帰断念を表明し「悔いが残っている。ちょっとでも投げていたら、悔いはない、と言えたかもしれないけど…。悔いしかない、という感じ」と話した。31日で退団する。

 支配下選手登録の期限となる31日が、決断のタイミングと考えていた。「(1軍の戦力になる)イメージがこの1、2カ月、特に今月に入ってからできなくなっていた。ならば、ここでけじめをつけるのは一番だと思った」と経緯を説明した。

 沢村賞に2度輝いた右腕は08年以降、度重なる手術を受け、リハビリを続けていた。昨年も復帰を断念するか悩んだが、周囲に相談して踏みとどまったという。

 最後のブルペン入りとなった28日。その思いを聞かれ、「寂しい気持ちもあったが、ピッチャーで良かった」としみじみと語った。長かったリハビリ生活は「大きな財産になる。こういう野球人生を歩んでいる人も、なかなかいない」。将来は指導者として球界復帰が期待されるが、今後については未定とした。

 通算79勝ながら、勝率は・775。「負けない投手」として強い印象を残した斉藤コーチは、妻でタレントのスザンヌについて「僕には分からないところで、つらい思いや悲しい気持ちになっていたと思う。友人知人を含め、その人たちのためにもマウンドに上がりたいという思いだった」。最後にもう一度、言葉を詰まらせた。

 ▼ソフトバンク・秋山監督 自分が決めたことだから、すっきりしただろう。リハビリの6年間はきつかったんだろうが、一世は風靡(ふうび)した。しばらく休憩する、と言っていたよ。

 ▼ソフトバンク・王貞治球団会長 気持ちを前面に出す攻撃的な、とにかく存在感のある選手として、チームメートの意識改革に大きな役割を果たしてくれた。特に、負けない投手というのは得難い勲章であり、チームをリーグ優勝や日本一に導いてくれた功労者でもある。今回の決断は、彼が精いっぱいやってきた結果から、導き出したものだと思う。

 ◆斉藤 和巳(さいとう・かずみ)1977年(昭52)11月30日、京都府生まれの35歳。96年に南京都高(現京都広学館高)からドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)に入団。03年に20勝3敗で最多勝や沢村賞を獲得。06年にも18勝を挙げ最多勝など投手4冠で2度目の沢村賞。通算成績は150試合で79勝23敗、防御率3・33。右投げ右打ち。

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