日大三 五十嵐 初球攻撃の逆転満塁弾 投手心理読んで仕留めた

[ 2013年7月24日 06:00 ]

<日大三・専大付>3回1死満塁から左越え本塁打を放った日大三・五十嵐(左)

西東京準々決勝 日大三12―4専大付

(7月23日 神宮)
 第95回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は22日、31大会で109試合が行われた。西東京大会では3年連続甲子園出場を狙う日大三が、専大付を12―4の7回コールドで下し、13年連続4強入り。五十嵐将大内野手(3年)が3回に逆転満塁本塁打を放った。神奈川大会では前日に延長15回引き分け再試合となった一戦で桐蔭学園・斉藤大将投手(3年)が2日連続で完投。横浜創学館を4―3で破り、8強進出を決めた。23日は32大会で107試合が行われる。

 迷わず初球を振り抜いた。2点を追う3回1死満塁。五十嵐が放ったライナー性の打球は神宮の左翼席に飛び込んだ。表情を全く変えずに小走りでベースを一周。内心は夢心地だ。試合をひっくり返す公式戦1号は、グランドスラムだった。

 「自分でもびっくりしたので、ガッツポーズもできなかった。夏の大会で打てるなんて思っていなかった。ホームランボールは部屋に飾りたい」。試合後も信じられない表情を浮かべた。

 「1球目を大切に!」。2年ぶりの全国制覇を狙う日大三ナインは、練習から「初球」への集中力を高めてきた。投手心理として初球でストライクを取り、カウントを有利に勝負したい。そのため甘く入る確率が高く、それを徹底して狙う。フリー打撃でも初球から100%の準備をして、フルスイングを心掛ける。実践したのが、五十嵐。満塁弾も初球なら、4回の中前打も初球だった。

 アスレチックスの中島に憧れる1メートル80の大型遊撃手。背番号は6だ。しかし、守備に難があり、今大会は代打での出場が続いていた。「7番・三塁」。ようやく巡ってきた初スタメン。2回の守備では送球ミスを犯していた。「緊張した」。そう振り返る中で深呼吸をしてから打席に入り、バットでミスを取り返した。冬場は朝から丼飯を3杯平らげ、体重は5キロ増の89キロ。春から4本塁打を放つなど通算13本塁打(練習試合12本)。パワーアップの成果は出た。

 初戦から4戦連続コールド勝ちで13年連続の4強入り。小倉全由監督は「五十嵐は1つや2つのエラーは構わないと思っていた。打撃を生かしてほしかった」と目を細めた。3年連続夏の甲子園へ、4試合で63得点、チーム打率・479。猛打は健在だ。1、2年時はスタンドで歓喜の瞬間を迎えた五十嵐は「ここまで来たら絶対に甲子園に行く」と力強く宣言した。

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2013年7月24日のニュース