Honda初栄冠!“ミスター社会人”西郷が貫禄犠飛

[ 2013年3月15日 06:00 ]

<JX-ENEOS・Honda>優勝したHondaナインは長谷川監督を胴上げ

全国社会人野球 第68回東京スポニチ大会最終日決勝 Honda5―3JX―ENEOS

(3月14日 神宮)
 Hondaが40度目の出場で悲願の初優勝を飾った。準決勝、決勝が14日に行われ、Hondaが決勝でJX―ENEOSを5―3で下した。「ミスター社会人」の西郷泰之内野手(40)は4番打者として、5点目となる犠飛を放つなどチームをけん引。自身にとっても同大会初優勝となった。予選リーグで完封を記録し、決勝でも勝利投手となった桜田裕太郎投手(25)が最高殊勲選手賞を受賞。Hondaは今秋の日本選手権大会出場権を獲得した。

 最後の打者が振り逃げで走ってくる。西郷は一塁でウイニングボールをつかむと、左ポケットにそっとしまい込んだ。マウンドでの歓喜の輪に加わり、長谷川寿監督を3度胴上げした。

 「今年はみんなでスポニチ大会を獲ろうと言って調整してきた。結果が出て良かったです」

 西郷は昨年の都市対抗で大会最多タイ記録となる個人通算14本塁打をマークした「ミスター社会人」。今年8月には41歳になる、23年目の大ベテランだ。「休むと体が動かなくなるので、ランニング量だけは落とさないように」と、全体練習後にはフェンス沿いを黙々と一人走る。予選リーグから全5試合で4番に座った。決勝では2回に中前打を放ち先制のホームを踏み、5回には貴重な追加点となる中犠飛。「最低限の打撃はできた。でも、あれ以上のものを求めてやらないと。何歳になってもバッティングは試行錯誤の連続」と、不惑を迎えてもストイックな姿勢は変わらない。

 08年には所属する三菱ふそう川崎の休部に直面した。当時36歳。野球をやめることも考えたが、やはり野球が心底好きだった。一昨年の都市対抗は右足首のじん帯を負傷。さらに持病の腰痛。それでも昨年からは重量をかけずに体に負荷をかける加圧トレーニングを導入し、体力維持に努めている。今大会のチームはスタメンに自身より18歳も年下の22歳の新人3選手が並ぶ若い布陣。「若手が入ってきて、競争することはいいこと」との言葉にまだまだ負けないとの自信が漂う。

 海の向こうで侍ジャパンの一員としてWBC決勝トーナメントに臨むOBの長野(巨人)にも届けた初優勝。WBCでは実力を発揮しきれていない後輩にも、西郷は「全然大丈夫ですよ」と復活を確信している。

 就任3年目の長谷川監督は「5連勝できたことは大きい」と目を細めた。伸び盛りの若手から、40歳の鉄人まで。幅広い年齢層のHondaが、40度目の挑戦でついに頂点に立った。

 ▼Honda・多幡雄一主将 西郷さんを見ると勉強することばかり。年のことは言っていられないですね。

 ◆西郷 泰之(さいごう・やすゆき)1972年(昭47)8月30日、東京都生まれの40歳。日本学園から三菱自動車川崎(現三菱ふそう川崎)を経て、09年にHondaに移籍。補強選手としての出場を含め、都市対抗6度の優勝経験を持つ。社会人ベストナイン6度、00年には橋戸賞を受賞。96年アトランタ五輪代表。1メートル85、88キロ。左投げ左打ち。

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