成功率100%!東海大甲府“得意技”走者三塁からエンドラン

[ 2012年8月22日 06:00 ]

<東海大甲府・作新学院>2回1死三塁、東海大甲府・神原は“狙い通り”の遊ゴロでチームに2点目が入る

第94回全国高校野球選手権準々決勝 東海大甲府8―4作新学院

(8月21日 甲子園)
 準々決勝2試合が行われ、4強が出そろった。第1試合では東海大甲府(山梨)が作新学院(栃木)を8―4で下し、04年以来8年ぶりのベスト4進出。打線は18安打を放ったが、走者三塁からのエンドランで効果的に得点を重ねるなど、小技も光った。第2試合では明徳義塾(高知)が倉敷商(岡山)を4―1で破り、馬淵史郎監督(56)は歴代5位タイの甲子園通算40勝目をマーク。22日は準決勝2試合が行われる。

 東海大甲府ナインを除き、誰もが目を疑った。1―0の2回1死三塁、1ボール2ストライクからの4球目。三塁走者・相原がスタートを切ると、打者・神原は強烈な遊ゴロを打った。作新学院は前進守備を敷いていたが、遊撃・石井が捕球した時、相原は既に本塁手前。楽々生還だ。完全に意表を突いたエンドランが決まり、凡打で貴重な2点目を奪った。相手の高山捕手は「エンドランは頭に全くなかった」と驚きを隠せなかった。

 走者・三塁でのエンドラン。空振りや飛球を打ち上げるリスクを背負うことからプロも含めてめったに見られない作戦だ。一見、奇策に見えるが、東海大甲府にとっては常とう手段だった。

 村中秀人監督「夏の県大会でも2回成功していた。甲子園の舞台でも思い切ってやろうと。うちはバントが下手。スクイズよりもいい」

 神原「練習から強いゴロを打つことを意識している」

 今春の関東大会準々決勝。高崎健康福祉大高崎戦でスクイズを失敗し、2―4で敗れた。指揮官は夏までの短い期間で課題を克服することよりも、確実に得点を奪う策を優先させた。出した答えがエンドランだった。強いゴロを打つ練習を徹底。練習試合では三塁に走者が進めば積極的にサインを出した。練習試合も含めて成功率100%。3回戦の宇部鴻城戦でも7回1死一、三塁から一塁走者がエンドランを仕掛け、遊ゴロで一塁に転送される間に三塁走者が決勝のホームを踏んだが、さらに攻撃的なプレーを甲子園で決めた。

 18安打8得点の猛打を見せたが、機動力が最大の武器。8回に左越えソロを放った4番・石井は5回1死一塁でエンドランのサインに高めの直球を大根切りで左前に運んだことを喜び「今年は全員でつながないと勝てない」と言う。昨年の高橋周平(中日)のようなスターは不在でも8年ぶりの4強入りを果たした。

 村中監督は、22日の準決勝で対戦する光星学院(青森)戦へ向け「思いきって戦いたい」と誓った。2季連続準優勝校にも泥臭く得点を重ね、勝機を見いだす。

 ▼中日・高橋周(12年卒OB)ベスト4まできたことだけでも凄いことですね。楽しんでやってもらえたらいいと思います。

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2012年8月22日のニュース