イチ 最後の賭け!「刺激求めて」志願のヤンキース移籍

[ 2012年7月25日 06:00 ]

<ヤンキース・マリナーズ>9回、ヤンキースのユニホーム姿で打席で構えるイチロー

ア・リーグ ヤンキース4―1マリナーズ

(7月23日 シアトル)
 大リーグのイチロー外野手(38)=本名・鈴木一朗=が23日(日本時間24日)、自ら志願してトレードでマリナーズからヤンキースへ電撃移籍した。

 オリックスからマリナーズに移籍して今季で12年目。チームの顔として君臨してきたが、「前向きな挑戦」としてマリナーズとの決別を決断した。シアトルで同日に行われた古巣マリナーズ戦に早速、「8番・右翼」で先発出場。3回の初打席で中前打を放った。世界一を目指す新天地での戦い。イチローの野球人生において最後の賭けとなる。

 目には光るものがあった。こぼれそうになる涙を必死にこらえるかのように、イチローは一点を見つめ、かすかに震える声で言葉を紡いだ。

 「時間が長ければ長いほど、そこに迷いが生じると感じた。決断に至るには時間がかかりましたし、100%(正しい)決断であったかは実際のことは分からない」

 数週間前に球団にトレードでの移籍を直訴し、球宴期間中に最後の熟考。後半戦開始となった13日にその意志に変わりがないことを伝えた。「生涯マリナーズ」への思いも抱えてきた。07年。同オフにFAで「マリナーズを出ることで失うものを補い、自分も他人も納得できるのはヤンキースしかないのかな、と考えたりした」とヤンキース移籍も頭をよぎったが、最終的には自らが先頭に立ってチームを再建したいとの思いからシーズン中の7月にマリナーズとの契約延長を決断。

 しかし、昨季、10年連続で記録した年間200安打が途切れ、チームも01年を最後にプレーオフに進むことはなく、低迷。モチベーションの置き場に苦しんだ。「環境を変えて刺激を求めたいという強い思いは芽生えていた。それなら、できるだけ早くチームを去ることが僕にとってもチームにとってもいいと思った」。交渉の中で真っ先に手を挙げてくれたのがヤンキース。今度は気持ちを抑えることはなかった。

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