剛腕が変身!由規「冷静に」制球勝負で3勝目

[ 2011年5月5日 06:00 ]

<ヤ・中>8回2失点で勝利投手の由規

プロ野球 セ・リーグ ヤクルト4-3中日

(5月4日 神宮)
 ヤクルトの剛腕・由規が、大人の投球を見せた。110球のうち150キロ超はわずか2球。その分、丁寧にコースを突く投球で、8回2失点。今季3勝目を挙げた。荒木チーフ兼投手コーチが「両サイドに投げ分ける由規を初めて見た」と驚いた安定感だった。

 「今までなら打たれてはいけないとただ力が入った。ピンチの時は特にそう。リラックスを心がけ、あえて言葉に出していました」

 3点リードの8回。先頭・谷繁から2四球と安打で無死満塁のピンチを招いた。マウンドでは帽子のひさしに書いた「冷静」を声に出し、「リラックス」とつぶやいた。独り言で集中を図った元巨人・桑田真澄ばりの言霊投法で続く井端を直球勝負の二塁併殺打。その間に三塁走者を還したものの、森野を右飛に仕留め、切り抜けた。

 東日本大震災では仙台育英でバッテリーを組んだ1学年上の斎藤泉さん(享年22)を亡くした。暴れ馬のような投球を身をていして受け続けてくれた兄貴分。落ち込む日々が続いたが、斎藤さんと同期の先輩たちが「泉の分まで頑張れ」と背中を押してくれた。「いろんな人の言葉をもらって、地震が起きた時と今では気持ちが違ってきた」。ブログには斎藤さんに向けて「ありがとう」とつづった。遺体が発見された先月27日巨人戦(草薙)のウイニングボールにも感謝の思いを記すつもりだ。

 中日戦は通算9試合登板で4勝無敗。チームも昨季から中日戦8連勝で今季最多の貯金7。首位もキープした。「僕が励まさなきゃいけないのに励まされた。だからこそ結果を残さないといけない」。深い感謝を知り、21歳右腕が一段とたくましくなった。

 ▽由規の制球力 先発に定着した09年は四死球が1・9回に1個(121回で62四死球)、昨年は2・0回に1個(167回2/3で82四死球)と若干良くなり、今季は2・5回に1個(28回で11四死球)と良化。

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2011年5月5日のニュース