緊急登板も何の!今村 10代最後の日にプロ初勝利

[ 2011年4月17日 06:00 ]

<広・巨>プロ初勝利の今村(中)はウイニングボールを手にナインと喜ぶ

セ・リーグ 広島4―2巨人

(4月16日 マツダ)
 10代最後の日に、10代最高の思い出をつくった。2年目で念願のプロ初勝利。ゲームセットの瞬間を見届けると、17日に20歳の誕生日を迎える広島の今村は勢いよくベンチを飛び出した。

 「1勝という壁があったし、どういう形でも、それを越えられたことがうれしい」

 09年のドラフト1位右腕。出番は突然だった。先発のジオが4回に打球を左足に受けて負傷降板。予期せぬ登板。今村は慌てて肩をつくり、2死からマウンドに上がった。いきなり長野、ライアルに連打を浴びたが、鶴岡を二ゴロに打ち取りピンチを脱出。6回2死一、二塁では谷を外角140キロ直球で空振り三振に仕留めた。

 「直球で押すしかないと思っていた。谷さんの時の直球は自分でも気持ちが良かったです」

 最速142キロでも、球速以上の切れがあった。6安打を浴びながら3回1/3を無失点。走者を出してから真価を発揮するスタイルは09年センバツを制した長崎・清峰時代から変わっていなかった。

 覚悟を胸に今季を迎えた。昨秋から力感ある投球フォームを求め、同僚・大竹、西武・涌井らのフォームをDVDで研究。今春キャンプでは臨時コーチの野茂英雄氏から「右臀(でん)部から出て行く感覚」との独特の言い回しでクイックモーションのコツを伝授された。

 前田健に続く将来のエース候補と期待される今村。その沢村賞右腕よりも2カ月早くプロ初勝利を挙げた。それでも、今村は言った。「あの人はこの年(2年目)に9勝を挙げている。僕にとって1勝は大きいけど、まだ1勝。最低でもあと8勝したい」。今村の目標はマエケンに並び、そして抜き去ることだ。

 ▼広島・野村監督(今村のプロ初勝利に)僕が監督になって最初のドラフト1位選手。本当にうれしい。

 ◆今村 猛(いまむら・たける)1991年(平3)4月17日、長崎県生まれ。小学3年で野球を始め、清峰では2年夏、3年春に甲子園出場。3年春のセンバツは決勝で花巻東と対戦。菊池(現西武)との投手戦を制し、長崎県勢の春夏通じての初優勝に貢献。この大会では全5試合に先発して4完投3完封、防御率0・20。09年ドラフト1位で広島入団。初登板は10年8月18日のヤクルト戦(マツダ)。昨季は2試合に登板して0勝1敗、防御率15・75。1メートル83、83キロ。右投げ右打ち。

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