榎田 上々のプロ初登板!2回1安打無失点

[ 2011年4月17日 06:00 ]

<中・神>プロ初登板の阪神・榎田のピッチング

セ・リーグ 阪神1―1中日

(4月16日 ナゴヤD)
 緊張と興奮が同居するデビュー戦だった。阪神ドラフト1位の榎田(東京ガス)がプロ初登板。同点の6回から2番手としてマウンドに上がり2イニングを無失点に封じた。

 「緊張しました。マウンドに上がったら足が震えてしまって…力んでしまったというか」

 想像以上の重圧が期待のルーキーを襲っていた。それは投球にも表れた。先頭の森野に左前打を浴びて出塁を許すと和田には1ストライクから4球連続ボールとらしくない投球で四球を与え無死一、二塁と瞬く間に窮地に立たされた。ここまでオープン戦など実戦でことごとく好投を続けてきた榎田もここでプロの洗礼を浴びてしまうのか-。ドームを不穏な空気が包んでいた。

 それでもここから榎田が真骨頂を見せつけた。右のグスマンには必要に内角を攻めると最後は再び内角に132キロのスライダーを投げ込み空振り三振に斬ると、ブランコも得意とするカットボールで捕邪飛。大島には死球で満塁とされたが一歩も退けないこの状況でも最後は谷繁をこん身の143キロ直球で空振り三振。悠然と仕事を完了させた。

 「ここを抑えないと勝てない。自分で招いたピンチだったので抑えたかった」

 ピンチでも動じない-。榎田の体に染みこむこの精神は高校時代に築かれた。宮崎・小林西高時代の野球部監督の新秀一郎さん(47=現教論)からランナーを背負っての投球術を3年間徹底的にたたき込まれた。打者の打ち気をそらす今や榎田のウイニングショットとなっているスクリューボールを習得したのもこの時だった。あの時流した汗は裏切らなかった。

 榎田がドラフト指名されるちょうど1年前の09年10月28日。榎田から突然、新さんに一通のメールが届いた。「あと1年でドラフトです。来年指名されることを目指して先生から学んだことを忘れず日々精進していきます」。教え子の決意表明にこぼれた涙が誇らしかった。誓いの言葉は2年の時を経てこの日現実のものとなった。

 「しっかりと0点で抑えられて良かった。次回は四球も無くしてテンポよくいきたい」。前を向いた背番号13の新たな挑戦が始まった。

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2011年4月17日のニュース