イチロー 偉大なる先輩にささげる5年連続マルチ

[ 2011年4月17日 06:00 ]

ロイヤルズ戦の8回、左翼線適時打を放つ背番号「42」をつけたマリナーズのイチロー

MLBア・リーグ マリナーズ5―6ロイヤルズ

(4月15日 カンザスシティー)
 同じパイオニアの血が騒ぐのか。マリナーズ・イチローが「ジャッキー・ロビンソン・デー」として行われたメモリアルの試合で2安打を放った。背番号42のユニホームに袖を通し、初回に右翼線二塁打。8回2死三塁では左前打をマークした。これで黒人初のメジャーリーガーを称える記念日の試合は5年連続マルチ安打。偉大な先駆者に今季も快音をささげた。

 加えて前日に肩を並べた、ジョージ・ブレット氏(57=球団取締役)の持つロ軍本拠地カウフマン・スタジアムでの連続試合マルチ安打を10試合に更新。記者席ではアナウンスが流れたが、イチローは「そういうことがあったと聞きましたけど、それでいいんじゃないですか」とサラリ。「どうでもいいね」と受け流した前日同様、マニアックな記録に関心を示さなかった。

 ロビンソンが歴史を切り開いたパイオニアなら、イチローも日本人野手として数々の記録の扉を開いてきた。07年には「当時、彼が受けていた差別と僕の恵まれた環境はとても比較なんてできない。歴史の偉人をしっかりと自分たちの心に刻み込んでおくことは素晴らしいこと」と語っていた。イチロー自身、メジャー史上で最も尊敬する人物を称える日の活躍は、ただの偶然ではなかった。再び歴史に名を連ねた4・15。偉大な先達の足跡を、これからもイチローはたどり続ける。

 ◆ジャッキー・ロビンソン 1919年1月31日、米ジョージア州生まれ。カリフォルニア大ロサンゼルス校では、野球の他にアメリカンフットボールや陸上でも活躍。45年にニグロ・リーグのモナークスに入団し、打率・345をマーク。同年8月にドジャースとマイナー契約。47年4月15日のブレーブス戦に、大リーグ初の黒人選手として出場した。俊足強打、好守の内野手として同年に新人王と盗塁王、49年には首位打者と盗塁王を獲得してナ・リーグMVPに輝いた。56年に引退。通算成績は打率・311、137本塁打、734打点、197盗塁。62年に殿堂入り。72年10月24日に53歳で死去した。

 ▽ジャッキー・ロビンソン・デー ロビンソンが黒人選手として初めて大リーグの試合に出場した1947年4月15日を記念し、大リーグ機構が04年から制定。07年にはケン・グリフィー(当時レッズ)の提案により、ロビンソンのデビュー50周年だった97年から全球団の永久欠番となっていた背番号42を着用してプレーすることが可能に。09年からは全選手、監督、コーチ、審判員が着用することを義務づけられた。

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2011年4月17日のニュース