ハラデー 故障も踏ん張り執念のバトン渡す

[ 2010年10月23日 06:00 ]

ジャイアンツ戦に先発し、6回2失点で勝利を挙げたフィリーズのハラデー

 【フィリーズ4-2ジャイアンツ】フィリーズのロイ・ハラデー投手(33)が21日(日本時間22日)、王手をかけられて迎えたサンフランシスコでナ・リーグ優勝決定シリーズ第5戦に先発。2回に右脚付け根を痛めながら、志願の続投で6回2失点の力投を演じた。第1戦で投げ合い敗れた、相手エース・リンスカムとの再戦にもリベンジしてチームを勝利へと導き、対戦成績を2勝3敗とした。これで本拠地へ戻ることも決定。手負いの完全試合右腕が、チームの危機に踏ん張った。

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 異変は誰の目にも明らかだった。マウンド上で「完全試合男」ハラデーの様子がおかしかった。150キロを超す自慢の高速シンカーはほとんど投げず、カットボールやチェンジアップ、時にはカーブまで織りまぜてかわす投球。それでも3回の逆転劇で得たリードを失わず、6回を6安打2失点で何とかしのいだ。

 実は2回、先頭のロスを打席に迎えた際に右脚付け根を痛めていた。「彼は張りを感じていた。でも自ら続投を望んだ。確かに球速は落ちていたが、変化球をうまく駆使した」と試合後、マニエル監督は明かした。1勝3敗と王手をかけられて迎えた一戦。ハラデーは「(脚は)悪化しなかったし、あの状況で投げたい投手なんて他にいないだろ。理想的な投球ではなかったが、いけるところまでいきたかった」と最低限の仕事を果たした、とばかり汗をぬぐった。

 相手先発は絶対的なエース・リンスカム。16日の第1戦で投げ合った際は、ロスに2本塁打を浴びるなど7回4失点で敗戦投手となった。昨季までマイナーからブルージェイズ一筋で15年間を過ごし、03年には22勝を挙げてサイ・ヤング賞に輝いた右腕も、ポストシーズンは初体験。移籍先でようやく踏むことができた真剣勝負の大舞台で意地をみせた。敵将ボウチー監督も「彼は本調子ではないが、先発投手の仕事をやり遂げた」と脱帽。手負いのエースから執念のバトンを受けた中継ぎ4投手も、3回無失点で大事につないだ。

 「残り2試合はオズワルト、ハメルズといい投手がいるからね。きっと勝てると思う」。崖っ縁で踏みとどまったハラデーは、最後に安どの表情を浮かべた。まだチャンスはある。リーグ3連覇の行方は、本拠地での残り2戦に託された。

 ≪ポストシーズン男ワースが決めた!≫10月男、フィリーズのワースの一振りが勝負を決めた。3―2の9回に貴重なソロ。左翼ポールまで339フィート(約103・3メートル)に対し、309フィート(約94・2メートル)と狭いAT&Tパークの右翼ポール際へ流して運んだ。「うまく打てた。この球場で何度も右翼方向へ打っているからね」と笑み。フィリーズでの4年間で放ったポストシーズン通算11本塁打は10本のアットリーを上回る球団単独最多。また、04年ドジャース時代も含めた通算13本塁打は、ナ・リーグ所属選手としてはブレーブスのジョーンズらに並ぶ最多タイ記録となった。

 ≪フィリーズには不利なデータ≫7回戦制となった1985年以降、ナ・リーグの優勝決定シリーズ(LCS)で第6戦以降までもつれたケースは過去16度。うち、2勝3敗から逆転突破したのは04年カージナルスなど5チームしかない。このデータによるフィリーズの突破確率は31%。フ軍は85年以降LCSに進出した3度はいずれも突破しているが、このケースに持ち込まれたことはなく、不利なデータをはね返せるか。

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2010年10月23日のニュース