巨人ドラ1指名の沢村 156キロ14K完投も黒星

[ 2010年10月23日 06:00 ]

<国学院大・中大>敗戦投手となりながらも14奪三振を記録した中大先発・沢村

 【中大0-2国学院大】巨人がドラフト1位指名を決めた中大の157キロ右腕・沢村拓一投手(22)が東都大学野球リーグ第7週第3日の22日、神宮球場で国学院大との3回戦に登板。14奪三振の力投を見せたが2失点して敗戦投手となった。とはいえ最速156キロの直球を軸にした力強い投球内容に、1位指名を狙う各球団のスカウトはくぎ付けとなった。また、リーグ戦優勝の行方は国学院大、東洋大、中大の3校に絞られた。

【試合結果


 沢村の人生を大きく左右する運命のドラフトまで一週間を切った。試合に敗れたとあって、157キロ右腕は厳しい表情のまま「小さい頃から好きな球団はあるし、意志あるところに道はあると思います」と現在の心境を語った。

 野球少年のころから好きで、あこがれていた巨人は19日のドラフト会議で沢村の1位指名を決めた。最大5球団の1位指名競合が予想される中、翌20日に巨人・清武代表が「巨人に来たいという人を獲得したい。意志あるところに道あり」と言った。試合後に「きょうは(巨人を)意識することはありませんでした」と平常心を強調した沢村だったが、同じ言葉を使って心境を表したあたりに相思相愛ぶりがうかがえた。

 敗れたとはいえ、エースとして誰にも負けない存在感を示した。自己最速にあと1キロの156キロをマークして14三振を奪った。優勝争いの中で大きな1敗を喫したことには「負けは負け。結局0―2で(自分が)話にならないです。特に何もない。力不足です」と悔やんだ。ただ、たぐいまれなる修正能力も見せつけた。14日の東洋大戦で今季初黒星を喫したが、バランスを重視する地道な体幹トレーニングを繰り返して投球バランスを修正。19日の国学院大戦は延長14回156球を投げ抜き、中2日のこの日も堂々の投球を披露。敗戦で優勝争いから一歩後れを取ったが「連勝し続けるしかないですよ」とエースは言葉に力を込めた。

 創立125周年の節目の年に狙う12季ぶりの優勝、そして自身の運命を決めるドラフト。26日の国士舘大戦に勝てば、優勝が懸かった東洋大戦が28日のドラフト当日になる可能性もある。

 「意志あるところに道はある」。沢村が、人生においてもっとも劇的な1週間を歩み始める。

 <国学院大 悲願初Vへ首位に立つ>国学院大が接戦を制し勝ち点3。勝率で東洋大を上回り、悲願の初優勝へ向け首位に立った。先発の右腕・鷲尾は直球は140キロ前後も1四球と制球の良さが光り、5安打完封で沢村に投げ勝った。「勝ちたい気持ちが人一倍あった。初回に外角を狙われたので、それ以降は内角勝負にしたのがよかった」。19日の中大1回戦は延長14回2失点も沢村との投手戦に敗れた。「リベンジはできた」と、1メートル69の小柄な3年生は笑顔を浮かべた。

続きを表示

2010年10月23日のニュース