松井“完全男”粉砕!75打席ぶりに一発!

[ 2010年5月16日 06:00 ]

6回2死一、二塁から右越え3ランを放ち、ナインの出迎えを受けるエンゼルスの松井。スタンドのファンも総立ちで祝福

 エンゼルスの松井秀喜外野手(35)が14日(日本時間15日)のアスレチックス戦で、4月22日のタイガース戦以来、出場19試合75打席ぶりの本塁打となる3ランを放ち4―0快勝に導いた。極度の打撃不振で打順が5番から6番へ降格したが、復活への鮮やかなのろし。前回登板で完全試合を達成したア軍・ブレーデンを打ち砕いた。

【試合結果


 忘れかけていた感触が全身を駆け抜けた。1点を先制し、なお2死一、二塁で迎えた6回。ブレーデンのスライダーを完ぺきにとらえ右翼席へ一直線に突き刺した。「肩口から甘く入ってきた。高めに入ってきたので体が前に出されずに、強いスイングができた」。連敗を止める値千金の5号3ラン。少し足早にダイヤモンドを一周した。
 実に19試合75打席ぶりの一発。その間、前日までは63打数9安打の打率・143と落ち込み長打もゼロ。3日に4番から5番へ。そして「全試合主軸で打ち続けてほしい」とソーシア監督に口説かれ移籍した主砲は、この日6番に降格した。
 打点を挙げた試合は8勝5敗に対し、なければ8勝16敗。松井のバットは勝敗に直結するだけに、チームのバックアップも手厚い。1週間前から試合中でもベンチ裏のケージでハッチャー打撃コーチとマンツーマンの打撃練習を行ってきた。常に守備機会を求める松井だが、皮肉にもDHだからこそできた再生策。「試合中にコーチが直接見てくれるのは初めての経験」と松井。「ヤンキース時代の好調時のフォームのビデオとか何にでも目を通して、修正点を指摘してくれる」
 その修正点の1つが、かかとに寄りすぎていた重心。「自分ではそこまで寄りすぎと思わないんだけど、それが不振の起因になっている可能性はある」。上体は起きあがり、右肩が早く開きやすくなり、松井が重視する「自分の間合い」で球を待てない。「きょうはしっかり待てたというのがあるんでしょうけど、細かくは分からない」と雄弁には語らなかったが、不振の間は全く打てなかった変化球を軸がぶれずにとらえた。
 「(見えてきた感じは)ないですね。分かっていたらとっくに打ってた。もう何十年もやっているけど、それでも波は必ず来る」と都合のいい復活宣言は封印した。遅れを取り戻すにはまだまだ足りない。点火したゴジラの逆襲が見ものだ。

 ▼エ軍ソーシア監督 松井の一発が大きかった。高めのスライダーを完ぺきに運んだな。きょう、彼が大きく変わったとは思わない。ただ、いいスイングだったのは確かだよ。

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2010年5月16日のニュース