背水の5年目…ついに頭角!辻内「左殺し」猛アピール

[ 2010年2月8日 06:00 ]

フリー打撃で登板し、好投した辻内

 巨人の辻内崇伸投手(22)が7日、宮崎キャンプで今年初となるフリー打撃に登板。打者2人に52球を投げ、安打性の当たりを5本に抑える好投を見せた。05年の高校生ドラフト1巡目で「怪物左腕」として騒がれて入団した辻内も、左ひじの故障などで1軍登板がないまま今年が背水の5年目。念願の1軍初登板に向けて、まずは上々のスタートを切った。

 辻内の投球に、ファンでごった返したサンマリンスタジアムが沸いた。まずは右の加藤と対戦。26球で安打性5本を許したものの、圧巻だったのが左の脇谷との対戦。同じく26球で安打性はゼロ。直球と教えていても、ことごとく打球を詰まらせて「左殺し」の適性をアピールした。
 「9割半くらいの力で投げました。コースへの投げ分けもできた。後半、体力がないのかコースがバラバラだった。まだ満足していないし、もっと力強い投球をしたい」
 まだ制球に課題はあるが球威は申し分ない。伸びのある低めの直球で5球の見逃しを奪った。オフは2年連続で米アリゾナで自主トレに励み、昨季から取り組んでいるひじを下げた投球フォームも固まりつつある。打ち取られた脇谷も「球自体に力があるし140キロ中盤は出ていた。(球筋も)クロス気味に入ってきた」と脱帽だ。
 大阪桐蔭3年の05年夏の甲子園で4強入り。ドラフト1巡目の鳴り物入りで巨人入団も、4年間は故障続きで苦労の連続だった。07年4月には左ひじ関節内側側副じん帯を再建手術。08年7月に1年8カ月ぶりに実戦復帰すると、昨季はイースタンで7勝を挙げるまでに復調した。今季は山口の先発転向で、中継ぎ左腕が1枚足りなくなる。原監督は「(辻内は)順調に来ている。ポスト山口?もちろんチャンスはある」と可能性を示唆した。
 まずは1軍初登板を目標にする辻内は「投げられるならどこでもいい。意地でも1軍で投げたい」と強い決意を口にする。もがいた末に手が届きかけている1軍の座。遅れてきた怪物はこのチャンスを逃すわけにはいかない。

 ▼巨人・加藤(フリー打撃で対戦し、18スイング中安打性の当たり5本)速かったですよ。もともといいものは持っている投手。良い球もきていた。
 ▼中日・筒井スコアラー 左で速い球を投げるのは魅力。あとは細かい制球力と変化球の勝負球が投げられるかだが、短いイニングで戦力になるんじゃないかと見ている。

 ◆辻内 崇伸(つじうち・たかのぶ)1987年(昭62)12月5日、奈良生まれの22歳。小1から野球を始め、大阪桐蔭3年夏の甲子園で史上3位となる大会通算65奪三振をマークして4強入り。05年高校生ドラフト1巡目で巨人入団。プロ4年間で1軍登板なし。昨季2軍で16試合に登板して7勝4敗、防御率2・69。1メートル85、88キロ。左投げ左打ち。

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2010年2月8日のニュース