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【コラム】海外通信員

アメリカ・サッカー界に君臨 ランドン・ドノバン引退

[ 2014年12月8日 05:30 ]

現役最後の試合レボリューション戦にフル出場した元米国代表ドノバン(AP)
Photo By AP

 いよいよアメリカのトップ・リーグ、メジャーリーグ・サッカー(MLS)が2014年シーズンの大詰めを迎える。12月7日にワンゲームの優勝決定戦、MLSカップが開催されるが、今回のMLSカップはこれまでにない盛り上がりを見せるかもしれない。組み合わせがイースタン・カンファレンス王者ニューイングランド・レボリューションとウェスタン・カンファレンス王者ロサンゼルス・ギャラクシーの対戦となり、ギャラクシーの本拠地、カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターで行われることになったからだ。このゲームがギャラクシーの副キャプテンで元アメリカ代表、FWランドン・ドノバンの引退試合でもある。

 ドノバンは1999年にドイツ、バイエル・レバークーゼンの下部チームでプロ・デビューを果たすと、その才能が認められ、2000年には18歳でA代表入りを果たした。その後2001年からレンタルでMLSサンノゼ・アースクエイクス入りすると、以後はMLSと代表の両方で活躍してきたのである。2005年にはロサンゼルス・ギャラクシーに移籍し、2007年から12年には元イングランド代表MFデビッド・ベッカムとともにプレーし、まさにアメリカ・サッカー界を代表する選手として君臨してきた。ギャラクシー、MLS、さらに代表のすべてで総得点記録はドノバンが持っている。

 その認知度はアメリカンフットボールや野球、バスケットボールと比べサッカーの人気が一段落ちるアメリカにおいても一般のスポーツ・ファンを中心に知られているほどだ。それゆえ今年のワールドカップで、ドノバンが最終選考で代表落ちしたことは大きなニュースとなった。その影響力は代表落選をテーマにしたテレビCMが複数制作、放送されたことでもわかるだろう。

 ドノバンはワールドカップ終了後の8月7日に今シーズン限りでの現役からの引退を発表した。今シーズンのドノバンだが、たしかに代表レベルでは衰えが目立ったものの、ギャラクシーでは依然中心的存在であり続けている。30試合出場はMLSキャリアで最多だし、10ゴールを決め、19アシストもキャリア最多だ。プレーオフ4ゲームにも全て先発し、3ゴールを挙げている。まだ32歳であり、引退は惜しい気もかなりするのも事実だ。

 その一方でギャラクシー、さらにUSサッカー協会は発表後、トリビュート・ビデオの制作、公開など、ドノバンの引退を盛り上げる動きを積極的に展開している。アメリカ・サッカー界を支えてきたスターだから当然だろう。それだけに今回、ドノバンがMLSカップ、それもギャラクシーの本拠地であり、代表チームもよくゲームを行うスタブハブ・センターで現役最後のゲームに出場する、というのはこの上もない花道となるのだ。

 元フランス代表で、2010年からニューヨーク・レッドブルズに所属してきたFWティエリ・アンリが退団、引退を示唆しており、レッドブルズ対ギャラクシーのMLSカップを期待するファンも多かったようだが、レッドブルズは残念ながら、イースタン・カンファレンスのチャンピオンシップで敗退となっている。MLSカップはアメリカンフットボールNFLと重なるため、どうしても例年今ひとつ盛り上がりに欠けるところがあった。ただ今回はひと味違ったことになることを期待している。(渡辺史敏=ニューヨーク通信員)

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