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【コラム】海外通信員

優勝が現実味 川島のスタンダール

[ 2014年2月2日 05:30 ]

セルクル・ブリュージュ戦の前半、セーブするスタンダールのGK川島
Photo By 共同

 川島永嗣が所属するスタンダールのレギュラーシーズン優勝が現実味を帯びてきた。

 ベルギーリーグは全16チーム、全30節がレギュラーシーズン。1月24日の時点ですでに23節を消化している。残り7試合となった現在、スタンダールは単独首位。2位のアンデルレヒトとは勝ち点7差を付けているのだ。

 ただ、ベルギーリーグはレギュラーシーズンの後にプレーオフがある。レギュラーシーズンの勝ち点の半分を持ち点として、リーグの上位6チームで総当りのリーグ戦を行う。持ち点にプレーオフでの各試合の勝ち点が通常のリーグ戦と同じく加算されていく。このプレーオフの勝者が最終的なリーグ王者となる。プレーオフは当然ながら上位陣の直接対決のオンパレードなわけで、下克上が起きやすい。スタンダールが真にリーグを制覇するにはまだまだ道のりは長いのは確かだ。

 プレーオフがあるとはいえ、スタンダールが優勝へ最も近い位置にいることには間違いはない。第23節までのスタンダールの戦績は、16勝6分け1敗。わずか1敗しかしていないわけだが、負けない理由は、リーグトップクラスの攻撃力もさることながら、失点が少ないことが大いに関係がある。

 総得点47得点はリーグ2位。そして、総失点がなんとわずか12失点。2位のアンデルレヒトの失点数が24失点、3位のクラブ・ブルージュが22失点であることから考えても、いかにスタンダールの失点数が突出して少ないかが分かる。昨季終盤から今季開幕までの間、川島はベルギーでも批判にさらされていた。クラブは川島の競争相手として、テュラムというGKを新たに獲得していた。しかし、開幕から起用された川島はリーグ戦だけでも6試合連続完封。その後も失点数を抑え続けており、有無を言わさない結果を出している。今となっては、リーグ戦23試合でわずか12失点のGKを批判するものはいない。

 年が明けて、2014年に入ってスタンダールは2試合を消化したが、このリーグ戦2試合とも完封勝利を飾った。

 先日の第23節は、5位のロケレンとのアウェーゲームだった。ロケレンは常に5位から7位あたりに付けてくるサブトップとも言えるクラブ。シンプルにサイドにボールを運び、クロスを多用するサッカーが特徴だ。シャープなサイド攻撃からの一発があるだけに、優勝を争うクラブといえども危険な相手。実際、川島も、「ロケレンが相手でアウェーだったので、正直もっと難しい試合になる」と考えていたという。だが、終わってみれば「ゼロ(失点)というより勝つことが大事だと思っていたんですけど、結果的にゼロで終えることができました。また連続で(無失点を)」続けていきたい」と相手の攻撃をシャットアウト。チームも前半9分の相手のオウンゴールによる1点を守りきって、1?0で勝利した。

 また、内容的に注目ポイントは、クロスを多用する相手に対して川島の守備はどうなのか、というところにあった。

 「相手も、そんなにスピードが乗っている中でクロスを上げてくるというよりは、中が整ったら上げるという感じでした。出れるところは出るし、出ないところは出ない。自分の中で(判断は)ハッキリしていました。ディフェンスが本当に良いポジショニングを取っていて、自分が出られないところはカバーしてくれていました。良い形でお互いカバーできたのかなと思います」

 今季の川島は、昨季に見られたようなベルギー代表のCBシマンあたりとポジショニングや判断に関して言い合う場面がほとんどない。お互いの意見を主張し合うのは当然歓迎されるべきことだが、今季に関して言えば言い合う必要もないほどに阿吽の連携が取れていると見てよさそうだ。

 「去年は、自分が出れないボールも出なきゃいけない、というのがあった。ディフェンスが無理な体勢の時に、全部任されちゃうというのもあった。今はお互いの役割の中でやれているし、そういうような(言い合うような)ことは本当にないですね」

 もちろん、連携とは別に個人的なパフォーマンスの向上にも余念はない。

 「ぎりぎりのボールを取るか取らないかの判断。逆に危ないところはしっかり外に弾いてリスクを回避する。そういったところは自分自身、質を高めていきたい。質が高いゲームになればなるほど、ひとつの判断が流れを変える。そこは続けてやってきたいと思います」

 この第23節には、勝ち点で並んでいた2位アンデルレヒト対3位クラブ・ブルージュというスタンダールのライバル同士の潰し合いがあった。結果はアンデルレヒトが勝利し、クラブ・ブルージュが優勝争いから一歩後退した。さらに4位のズルテ・ワレヘム、スタンダールに負けた5位ロケレン、6位のゲンクとその他の上位陣が軒並み黒星を喫していた。気がつけばスタンダールは首位独走の色を強めてきているのだ。

 ベルギーリーグ挑戦4年目。川島はついにタイトルに手が届くところに来ている。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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