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【コラム】海外通信員

伝統のコパ・アルゼンチーナ再開!

[ 2011年11月18日 06:00 ]

 今年、コパ・アルゼンチーナが再開された。42年前の1969年に第1回大会が開かれ、ボカがアトランタを3-2(3-1,0-1)で破り初代チャンピオンになった。翌70年にも開催されたが、べレス-サンロレンソの決勝第2戦が行われず(第1戦は2-2の引き分け)無効となった。その後は開催されていないため、チャンピオンはボカのままになっている。その大会が復活して現在アルゼンチン各地で行われている。

 本大会は、アルゼンチン国内のプロ、アマを含めて186チームが参加して行われる。1部(プリメーラA)20チーム、2部(ナシオナルB)20チーム、3部プリメーラB、トルネオ・アルゼンチーナ)21+25チーム、4部(プリメーラC、トルネオ・アルゼンチーナB)20+60チーム、5部(プリメーラD)18チーム、そして上記リーグに加盟しているチームがない2州から2チーム。アルゼンチン全州のチームが参加する大会だ。これはスペインのコパデルレイ(国王杯)、イタリアのコパ・イタリアに似た国内大会で、アルゼンチンでも国内での盛り上がりや経済効果が期待されている。

 すでに24チームが全国から勝ち進み、ここから予選のない1部20チーム、2部20チームが参加し、合計64チームでの戦いが始まる。16チームごと4ブロックに分かれてニュートラルなスタジアムで、トーナメント方式で行われる。1、2部のチームは各ブロックに10(1部5、2部5)チームずつ分かれる。決勝は来年12年5月12日。優勝チームはコパ・スダメリカーナの参加資格を与えられる。ご存知の通り、コパ・スダメリカーナ優勝チームは、日本で開催されるスルガバンクカップでJリーグの覇者と対戦することになる。

 ちなみにコパ・アルゼンチーナ優勝チームには約35万ドルの賞金が用意されている。世界レベルを保ち、進化が求められるアルゼンチンサッカー界にとって、国中を巻き込んだ活気ある大会になるはずである。

 そんな中、アルゼンチン代表は14年W杯ブラジル大会に向けて、南米予選が行われている。11月12日のボリビア戦、地元リーベルスタジアムで行われた第3戦は、DFのイージーミスでの失点、バランスの取れない試合運びで1-1と引き分け、国民の不満が爆発している。メッシをキャプテンにし、若返りを図っているためチームができあがっていないところもあるのが、それにしても結果が出ない試合が続いている。

 第1戦はチリ戦に4―1で快勝したものの、2戦目はべネズエラに0-1で負け。そして今回のボリビア戦の結果で、86年メキシコ大会予選より悪い最悪のスタートになり、国民の心配は募っている。もっとも86年大会はマラドーナの活躍で優勝しているだけに、予選のスタートが悪くても心配する必要はないとも言える。世界的なスター選手が多いチームだけに、世間の期待も大きいのだ。

 以前のコラムでも書いたが、やはりアルゼンチンは現在の状況を認め、過去の栄光は過去のものとして、世界のサッカー、他国が進化している状況を謙虚に受け止める必要がある。個人技だけではなく、チームとしてまとまらなければならないのだ。ラテン系で自己主張の強い国民だが、個人プレーにならないようにスター選手をどう起用するかが今後の重要なポイントになる。アルゼンチン人でもいろいろな性格の選手がいるし、ボカがビアンチ監督でリべルタドーレス杯やトヨタカップで勝ったように、選手起用次第で可能なはずだ。監督の手腕は重要で、指揮官も変わらなければおかしい。(大野 賢司=ブエノスアイレス通信員)

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