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声援を力に変えた南ア…元日本代表主将・宮本恒靖が見たW杯開幕戦

[ 2010年6月13日 13:09 ]

<南アフリカ・メキシコ>後半、同点ゴールを喜ぶ南アフリカイレブン

 【宮本恒靖のスペシャル興奮観戦記 南アフリカ1―1メキシコ】02年日韓大会と06年ドイツ大会の開幕戦は選手としての視線で見ていましたから、今回の開幕戦はワクワクしながら、新鮮な視点で見ることができました。

 最初、南アフリカは明らかに硬かったですね。国歌が演奏されている時に選手の顔を見たら、「これが人生のハイライトだ」という顔をしていましたね。試合が始まっても、最初は守備ばかり。サポーターの声援が逆にプレッシャーになっている感じがしましたね。
 一方のメキシコは、パスをうまくつないで、明らかに立ち上がりから勝ち点3を取りに来ていました。でも逆にボールを持つ時間が長すぎて、取られた後のリスクマネジメントができていないのが気になっていました。これはカウンター食らうな、という雰囲気はありました。
 その予想通りに南アフリカが先制しましたが、点を取った後は明らかにプレーが変わりました。プレッシャーになっていたホームのサポーターの声援が、逆に力になっていましたね。
 南アフリカの選手たちの気持ちはよく分かります。ぼくは02年日韓大会の初戦ベルギー戦で先発の森岡(隆三)が負傷したため急きょ途中出場したんですが、その時はやっぱり硬かったというか、いつもより空気が重いという感じがしました。
 その重さが消えたのは2―1から失点して2―2の同点に追いつかれた時。「ふっきらないとアカン」と開き直りました。それからはサポーターの声援が安心感につながりました。そして「サポーターを自分たちが喜ばせている」という思いがさらに気持ちを高揚させました。
 それから、開幕戦を見ていて気になったことが2つあります。まずはボールの跳ね方が明らかにおかしかったこと。最初は芝生が硬いのかなと思っていたけど、ウルグアイ―フランス戦でもフランスのGKがバウンドを合わせ損なっていたし、ピッチではなく、やはり高地の影響かなと思います。ぼく自身も、ドイツ大会最終予選でイラン・テヘランでプレーした時に、ボールの伸び方が明らかに違うことに戸惑いました。日本の試合でも高地対策がカギを握ると思います。
 あとはブブゼラの音。選手間の声が聞こえないというのはプレーに大きな影響を与えます。DFラインのコントロールや後方からの指示の声が聞こえないわけですから。空気も乾燥しているから、プレー中に声がかれることもある。特にDFはきついでしょうね。
 1つうらやましいのは、気温が低いこと。日韓大会も、ドイツ大会も、暑くて体が重たかったですからね。今大会はそういう面での条件はいい。体は切れますから、選手個々のプレーを十分に堪能できる大会になると思いますよ。
(神戸DF、元日本代表主将)

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2010年6月13日のニュース