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ソウェト出身の英雄 故郷で大会1号!

[ 2010年6月13日 06:00 ]

<南アフリカ・メキシコ>後半9分、南アフリカ代表・チャバララ(8)が第1号

 【W杯1次リーグ・南アフリカ1―1メキシコ】アフリカ大陸で初めて開催されるW杯の第1号ゴールは“南アフリカの星”が決めた。11日に行われたメキシコとの開幕戦で開催国南アフリカのMFシフィウェ・チャバララ(25=カイザー・チーフス)が後半10分に豪快な先制ゴールを叩き込んだ。追いつかれて1―1の引き分けに終わったものの、W杯の歴史にその名を刻んだ。

 ゴール右上のサイドネットに突き刺す豪快なゴールを決めると、南アフリカ代表・チャバララは両手を広げた飛行機のようなポーズでタッチラインへと向かった。追いついたチームメートを左右に従えて歓喜のダンス。1メートル70とチームで最も小さな体で8万4490人の歓声に応えた。
 「何万人ものファンの前で地元開催のW杯第1号のゴールを決められて本当にうれしい。偉大なゴールでとても特別。人生で最高の日になった」
 会場のサッカー・シティーは旧黒人居住区ソウェトにそびえる。かつての黒人解放闘争の拠点はチャバララの故郷。快足ウイングは今も黒人の貧困層が多く暮らす街から代表まで上り詰めるというサクセス・ストーリーを演じた。黒人ファンが9割を占めると言われる国内リーグで同じソウェト出身の黒人MFモディセと並んで屈指の人気。闘志あふれるプレーで白人のファンも多く、ゴールの瞬間にはあらゆる人種の観衆を1つにした。
 代表には20歳で初招集され、06年1月にデビュー。速さと技で豪快に得点する一方、安定感に欠けた。守備的な前監督の時代は構想外。W杯絶望と思われた。だが、昨年11月に攻撃サッカーを目指すパレイラ監督が復帰し「足元でボールを使える選手はブラジル人好み」と招集。かつてのスーパーサブは先発の座をつかみ、大一番で輝いた。
 この日は代表通算50戦の節目。「信頼してくれた監督に感謝したい。50試合目のゴールをファンと祝えた」。海外組が大多数を占める他のアフリカ代表と異なり、この日の南アは先発8人が国内組。引き分けに終わったものの、強豪と互角に戦えることを証明した。自らのW杯後の欧州移籍も見据え「自分はまだまだ良くなる。チームも1次リーグ突破は可能」と訴えた。ソウェトが生んだ英雄のサクセス・ストーリーはまだ終わらない。

 ◆シフィウェ・チャバララ 1984年9月25日、南アフリカ・ソウェト生まれの25歳。カイザー・チーフスの下部組織を経て04年にフリー・ステート・スターズ入り。07年カイザー・チーフスに移籍した。代表デビューは06年1月14日のエジプト戦。代表通算50試合7得点。1メートル70、70キロ。

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2010年6月13日のニュース