レッドソックス・吉田正尚 自己最長136メートル特大アーチ 新人王へ視界良好

[ 2023年6月22日 02:30 ]

ア・リーグ   レッドソックス10―4ツインズ ( 2023年6月20日    ミネアポリス )

8回、2ランを放ちターナーと喜ぶ吉田(AP)
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 レッドソックスの吉田正尚外野手(29)は20日(日本時間21日)、ツインズ戦でメジャー自己最長となる136メートルの特大アーチを放った。17戦ぶりの8号2ランを含む3安打3打点で、10―4の快勝に貢献。ア・リーグ新人最高のOPS(出塁率+長打率)は・867まで伸ばし、日本選手では5人目となる新人王へトップランナーとして快走している。

 敵地ファンもあきれかえるほどの飛距離だった。試合の大勢は決していた8―0の8回1死一塁。オルテガの初球、94・7マイル(約152キロ)の甘いツーシームを捉えた。吉田のとどめの一撃は打球速度108・8マイル(約175キロ)で高く舞い、右中間2階席に着弾。飛距離447フィート(約136メートル)は、今季140メートル弾を既に2発のエンゼルス・大谷をほうふつさせるビッグドライブだった。

 「しっかり1球で仕留めることができた。右中間、左中間に強い打球がライナー性で飛んでいくのが自分のいいスイング。ベストに近い打球だった」

 ベンチでは愛称「マッチョマン」の証であり、透明なものに新調されたダンベルを2つ手渡され、笑顔を振りまいた。6回先頭では左前打で出塁し3点目のホームを踏み、7回無死一、三塁では投手のグラブをはじく適時内野安打で5点リードに広げた。3安打3打点の活躍。打率・308はリーグ3位で、OPS・867はリーグ6位へと上げた。

 1年目の日本選手で「非常に良い」というB評価のOPS・833以上を記録したのは2選手だけ。18年の大谷(・925)と、01年のマリナーズ・イチロー(・838)で、いずれも新人王に輝いた。イチローはMVPとの同時受賞だったが、それを上回る高い数字をマーク。近代野球で打者を評価する上で最も重要視される指標で、出塁率が高く、長打も打てる吉田だからこそ高い数字を叩き出せる。ア・リーグ新人では2位のレンジャーズ・ヤングの・833に差をつけ断トツ。上記2人と95年ドジャース・野茂英雄、00年マリナーズ・佐々木主浩に続く日本選手5人目の栄冠へ、現時点で最有力候補なのは間違いない。加えて規定打席到達者ではリーグで2番目に少ない31三振という、吉田ならではの強みも後押しする。

 6連勝に大きく貢献し、1週間前には借金生活だったチームは貯金4。強豪ひしめくア・リーグ東地区では最下位だが、ワイルドカード出場圏内のエ軍には1・5ゲーム差に迫った。「一つも落とせない気持ちでみんな戦っている」と4番はチームの気持ちを代弁した。

 ▽OPS 出塁率+長打率で計算。開発者ビル・ジェームズは7段階に格付けし、.900以上がAランク、.833以上をBランクとし、1.000を超えると超一流とされる。強打者の度合いを示す指標として記者投票では何よりも重視される。大リーグの歴代シーズン最高は04年バリー・ボンズ(ジャイアンツ)の1.422で、日本選手最高はMVPに輝いた21年大谷の.965。プロ野球では74年王貞治(巨人)の1.295。吉田のオリックス時代通算は.960で、自己最高は昨季の1.008。

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