飛躍へ、プロ野球選手に問われる「継続の重要性」 “正月”は人生懸けたサバイバルのスタート地点

[ 2023年1月28日 08:00 ]

真剣な表情で石井監督(手前中央)の話に聞き入る荘司(右)ら楽天の新人選手
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 もう~いくつ寝ると~お正月~。プロ野球界では、2月1日は「お正月」と言われる。沖縄や宮崎で各球団がキャンプインする“元日”を心待ちにしているファンも多いのではないだろうか。

 年末年始の束の間の休みを終えた選手たちは、1月初旬から全国各地で自主トレを開始する。あくまでも春季キャンプやオープン戦、シーズンに向けた準備期間ではあるが、1月の過ごし方いかんでシーズンの成績が大きく左右すると言っても過言ではない。

 ルール上、自主トレ期間中は所属チームのコーチから指導を受けることはできないため、個人で依頼したトレーナーや先輩、自主トレメンバーなどから助言を受けながらトレーニングに励む。オフならではの学びや発見もあり、これ自体は素晴らしいことなのだが…実は落とし穴もある。特に気をつけなければいけないのが、キャリアの浅い伸び盛りの選手たちだ。

 楽天・小山投手コーチは、若手選手にオフシーズンの過ごし方についていくつか宿題を出していた。その中で最も特に、秋季練習や秋季キャンプでの取り組みを継続することの重要性を説いていた。当たり前のように聞こえるが、実は盲点になりがちだというのだ。

 「自分たちのチームのコーチやトレーナーから離れる2カ月間、個々でトレーニングコーチをつける選手も多い。所属チームのコーチはシーズン中も含めてずっとその選手を見ているけど、パーソナルトレーナーは短期間だけ指導する。もちろん見違えるように成長してキャンプインしてくれる選手もいる。育てている木の幹に枝葉が増えることは良いけど、全く別の木になってしまう選手もいて。それでは、せっかく張った良い根が無駄になってしまう」

 ありとあらゆる情報を手に入れられる時代。トレーニング理論は星の数ほどあふれ、他球団の選手との交流も増え、向上心の強さゆえに自分らしさを見失ったり進むべき方向を見誤ってしまう選手も。必要以上に筋力トレーニングに打ち込んでオーバーサイズになり、俊敏性や可動域を失うケースは、その代表例だ。

 若手選手にとってはキャンプは野球人生を懸けたサバイバルであり、2月上旬だからといって“正月気分”で練習をしていると、あっという間にライバルに水をあけられてしまう。楽天・佐竹野手総合兼外野守備走塁コーチは「練習を見れば、その選手がオフにどういうことをやっていたのかすぐに分かる。若手は2月1日から勝負できる体にしてきてもらわないといけない。キャンプは調整の場ではなく、アピールの場なので」と目を光らせる。一年の計は元旦にあり。オフシーズンの“答え合わせ”となる春季キャンプが、いよいよ始まる。(記者コラム・重光 晋太郎)

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2023年1月28日のニュース