竹田利秋氏 60歳以上年下の選手に熱血指導「頭ごなしではなく、共感していく」

[ 2022年8月29日 11:42 ]

竹田利秋総監督
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 【伊藤幸男の一期一会】80歳を越えても指導の情熱は失わない。国学院大野球部・竹田利秋総監督(81)は残暑でもグラウンドに出ては同大学、同大学付属高校生の強化に余念がない。特に2年連続選抜出場を目指す国学院久我山の指導は熱を帯びてきた。

 「グランドもサッカー部と半々と練習環境は恵まれていないけど、面白いですよ。久我山だからできる取り組みを、尾崎監督と話しながらやっています」

 昨年11月にイチロー氏(48=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)に直接指導を受け、今春の選抜で4強入入り。一躍注目を浴びたが、竹田総監督と同校との関わりは5年前にさかのぼる。大学、高校のトップから「選手と指導者を育ててほしい」と頼まれ、50歳年下の尾崎直輝監督(32)と、60歳以上年下のナインと向き合ってきた。今選抜期間中も選手と同じ宿舎に泊まり、PCR検査を何度か受けた。「なぜこうした方がいいと生徒に説明し、共感してもらわないとね。同時に監督にも共感してもらう。だから説明力を求められます」。たとえば投手なら低めに投げるには、どう体を使えばいいのか。それでも高めにいくのは筋力が足りないからと納得させつつ、新たなトレーニング法を模索していく。「頭ごなしではなく、共感していく。時間はかかるけど、選手が理解すると本気で取り組む。これは大学生でもプロ野球でも私は一緒だと思うんです」。プロ・アマ球界に数々の教え子を輩出した竹田総監督だからこそ、言える言葉だ。

 選抜代表への重要な参考資料となる秋季東京都大会1次予選は来月3日から開幕。国学院久我山は初戦で成蹊と対戦する。

 今夏の甲子園は、かつて指揮を執った仙台育英が東北勢として初優勝に輝いた。89年夏、同校を初の全国準Vに導くなど礎を築いたのは竹田氏だ。「若い時から失敗はたくさんしましたけど、その経験を踏まえ埋めながら、次にどう生かすかですね」。甲子園通算30勝の名将の教えは後進に脈々と受け継がれている。

 ◇竹田 利秋(たけだ・としあき)1941年(昭16)1月5日生まれ、和歌山県出身の81歳。和歌山工では三塁手として58年選抜に出場。国学院大卒業後、銀行に勤めたが65年から東北のコーチを務め、68年1月同校監督に就任し、同年夏の甲子園に初出場。85年夏、佐々木主浩(元横浜など)を擁し全国8強。同年秋に仙台育英監督に就任。89年夏は大越基(元ダイエー、現早鞆)を軸に全国準V。甲子園には通算27度の出場で30勝27敗。96年に国学院大野球部監督に就任し、10年から総監督となった。

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