ネストル・コルテス、加藤豪将のドラフト同期生が歩んだメジャー成功への険しい道のり

[ 2022年5月10日 10:21 ]

ヤンキースのネストル・コルテス投手(AP)
Photo By AP

 ヤンキースのネストル・コルテス(27)が9日(日本時間10日)レンジャーズ戦で先発、8回1死までノーヒットと好投した。メジャー通算22度目の先発で8回突入は初めて。103球目を中前打されたが、チームに1-0の勝利をもたらした。

 コルテスはピッチングの曲芸師。ピッチャーは自分に一番合った投球動作を練り上げ、それを保つことで、球威を高め、コントロールを安定させる。しかしコルテスは腕を振る角度、足の上げ方を自在に変え、いったん動作を止めたかと思ったら、そこからクイックで投げるなど、変幻自在。とりわけ去年6月29日の大谷翔平との対戦は、大谷を焦らそうと、左足のかかとで10回タップを踏んだ後、右足を上げ、一旦止めてから、再びゆっくりと膝を上げ始めたため、審判がたまらずタイムを取った。打席の大谷が白い歯を見せ笑った。

 実はその試合の後から先発に抜てきされ、昨季は14試合先発で、73回3分の1を投げ、2勝3敗、防御率3・07。そして今季は開幕からローテーションで、6試合で32回を投げ、1勝1敗、防御率1・41の好成績。被打率は・177である。武器はカッターで、この日も103球中51球投げ12個の空振りを奪った。

 キューバ出身、フロリダ育ちのコルテスは、13年ヤンキースにドラフト36巡で指名された。今季メジャーデビューを果たした加藤豪将とは、ヤンキースのドラフト同期生(加藤は2巡)である。彼らのキャリアを振り返れば、メジャーで活躍するまでがどれだけ大変で、同時にこの年齢までプロでいられた選手は、実力的に紙一重であることがうかがえる。

 コルテスはマイナーで5シーズン投げたあと、17年オフのルール5ドラフトでオリオールズに指名、18年デビューを果たした。しかしブルージェイズ戦で満塁本塁打を浴び、40人枠から外され、ルール5の規定でヤンキースに戻り、再びマイナーで投げた。19年5月に昇格したが、ロングリリーバーで防御率5・67。マリナーズにトレードされた20年は、5試合で防御率15・26で、解雇された。オフに26歳になり、この成績では再びマイナー契約とわかっていたが、それでもあきらめなかったのは、才能ある選手が早くあきらめすぎていると感じていたからだ。21年、ヤンキースとマイナー契約。5月末に昇格。リリーフで、大谷と対戦したのは昇格7試合目だった。プロ9年目、そこから成功の階段を駆け上がった。辛抱が実った。

 コルテスはニューヨークタイムス紙の取材に「キャリアの間に何度もノックダウンを食らった」と苦難の道のりを振り返る。「いかにチャンスをものにするかなんだ。そんなことは誰にも望まないけど、チームメイトが怪我をするとかね。でもそれが真実。プロ野球はそういう世界なんだ」と語っている。

続きを表示

2022年5月10日のニュース