【虎番リポート】阪神・湯浅“岩崎ルーティン”階段トレで高みへ駆け上がる

[ 2022年5月10日 05:30 ]

アルプススタンドで岩崎(左)の背中を追うように階段を駆け上がる湯浅
Photo By スポニチ

 若き剛腕が前を行く大きな背中を追う。さながら、飛躍を期す22歳のキャリアの立ち位置を示しているようだった。甲子園の一塁アルプススタンドの階段を上るのは、守護神を務める岩崎のルーティンだ。そこに湯浅が加わるようになったのは、4月17日の巨人戦の試合前練習からだった。

 「ザキさん(岩崎)が階段トレをやってるのを見て良いなと。見てるだけじゃ分からないので“次やるとき一緒にやらせてください”とお願いして」

 昨年デビューし、開幕前の時点で1軍登板わずか3試合の右腕はいま、岩崎につなぐセットアッパーを任されている。ナイター中心の連戦、移動ゲーム…。長いシーズンにおけるコンディション調整は未知の領域と言っていい。

 「ネットで“疲労回復”って検索したりして(笑い)。今はとりあえず全部やってみて自分に合うものを探している状態ですね」

 そんな中で取り入れたのが岩崎の“階段トレ”だった。グラウンドでのメニューをすべて消化した後、上り下りを繰り返してたっぷりと汗を流した。

 そもそも、岩崎にとって何のためのルーティンなのか。言葉で表せば「気分転換」だという。

 「階段を上って高いところから甲子園のグラウンドを見渡して。きょうの相手にどう配球していこうか考えたり。もちろん、体の状態を確かめる部分もあります。ランニングだけだったら終盤にキレがなくなってくるので」

 心の整理やリセットとともに、下半身に負荷をかけてシーズンを戦う“貯金”もつくっていく。

 湯浅は“一日体験”を終え、得たものを口にした。

 「(階段トレは)フォームとかも意識しやすいので、良いなと。これからも続けていきたい」

 トレーニングとしてはもちろん、聖地を見下ろしながら先輩左腕と言葉を交わす時間が肥やしになる。バトンを渡す者と、受け取る者。そろいのルーティンが、方程式を強固にする。(遠藤 礼)

続きを表示

2022年5月10日のニュース