前橋育英 荒井主将 小5の誓いへあと1つ 父を甲子園優勝監督にする

[ 2013年8月22日 06:00 ]

父・荒井直樹監督(左)にウイニングボールを手渡す前橋育英主将の荒井海斗

第95回全国高校野球選手権大会準決勝 前橋育英4―1日大山形

(8月21日 甲子園)
 指導者の父を甲子園優勝監督にする。幼い頃に思い描いた夢の実現まであと一つ。前橋育英・荒井海斗主将は「幸せだなあと。苦しい思いをしてきたが、それを乗り越えてここまで来られた」と言った。

 小学5年の作文で「お父さんを甲子園に連れて行き、全国制覇したい」と書いた。あれから7年がたち、準決勝を迎えた。初回1死二、三塁。追い込まれると打席の中で「目線がブレないように」とスタンスを広くし、指2本分バットを短く握った。先制の右犠飛。2―0の3回1死三塁の場面でも左前適時打を放った。4番として初の決勝進出に導き、荒井監督からも拍手で称えられた。

 荒井監督は社会人野球のいすゞ自動車で13年間プレーし、都市対抗野球に7度出場。父に憧れた次男は「父の下で野球がしたい」と前橋育英に進学した。三塁側アルプス席からは母・寿美世さんが見守っていた。部員の食事の管理から背番号の縫い付けまでこなす寮母。海斗主将は母を「寮母さん」、父を「監督さん」と家でも呼ぶ。荒井監督は「(妻は)大変な仕事を、体もきついと思うがよくやってくれている」と感謝した。

 「今度は僕が親孝行をする番。日本一のウイニングボールを渡したい」と海斗主将。誓いの言葉を聞いた荒井監督は「できるならいただきたい」と笑った。母が見守る甲子園で父を胴上げする。

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2013年8月22日のニュース