息子の偉業に父も「こみ上げるものがあり、ほろっときた」

[ 2013年8月22日 11:20 ]

記念品を手に、笑顔で取材に応じるイチロー外野手の父鈴木宣之さん

ア・リーグ ヤンキース4―2ブルージェイズ

(8月21日 ニューヨーク)
 米大リーグ・ヤンキースのイチロー外野手が4000安打を達成した22日、テレビで息子の偉業を見守った父鈴木宣之さん(70)は「久しぶりにこみ上げるものがあり、ほろっときた」と笑顔を見せた。出身地の愛知県豊山町役場では後輩球児らが歓声を上げ、地元が生んだ大スターをたたえた。

 「4千本安打おめでとう。さらに精進してまい進しなさい」。宣之さんは達成直後、海の向こうで声援を受ける息子にメールを送った。

 22日午前、豊山町の「イチロー展示ルーム」で取材に応じ「毎日、バッティングセンターに通った少年時代を思い出した」と終始笑顔。10月で40歳を迎える息子に「さらに安打数で頂点を目指してほしい。ただ、けがのないよう元気でプレーを続けて」とエールを送った。

 「あいつらしいな」。愛工大名電高時代に監督だった中村豪さん(71)は記録達成を聞き、そう感じた。イチロー外野手は、達成まであと1本と迫った21日の試合に代走で出場、盗塁を決めサヨナラのホームを踏んだ。

 「高校時代からだが、自分の役割を黙々と果たせるあの子の考え方はすごい。わしもがんばらないかん」と語った。

 少年時代に通った豊山町のバッティングセンター。経営者の前田岩夫さん(73)は「世界に通じる技術を、豊山町で培ってくれたのが誇らしい。やせた少年だったので、プロに入ってここまでの記録を打ち立てるとは思わなかった」。

 豊山町では、野球少年ら十数人が朝から町役場のテレビ前に集まった。テレビの上には「祝 4千本安打まであと1」と書いた横断幕。ヒットを放つと、横断幕の「まであと1」がはがされ「祝 4千本安打達成」となり、万歳と拍手が巻き起こった。

 同町の野球チームに入っている名古屋市の永野行杜君(12)はユニホーム姿で声援。「きれいな流し打ちでかっこよかった。イチローみたいに(矢のように返球する)レーザービームを投げられる選手になりたい」と興奮していた。

 愛知県春日井市にある愛工大名電高の合宿所では、後輩の部員約30人が大型テレビを見つめた。記録達成の瞬間には「オー」と大きな歓声。頭の上で手をたたき、テレビに大映しになる大先輩をたたえた。

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