あとイチ安打!歴史的偉業へ、ニューヨークも“認めた”

[ 2013年8月22日 06:00 ]

<ヤンキース・ブルージェイズ>第一試合の7回、カノの適時二塁打で生還するイチロー

ア・リーグ ヤンキース―ブルージェイズ

(8月20日 ニューヨーク)
 あとイチ安打!ヤンキースのイチロー外野手(39)が20日(日本時間21日)、ブルージェイズとのダブルヘッダー第1試合に「2番・右翼」で出場。2安打を記録し、日米通算4000安打に残り1本とした。第2試合は先発を外れたが、9回に代走で出場し、サヨナラのホームを踏んで3連勝に貢献。21日(同22日午前8時5分開始)のブルージェイズ戦で、希代のヒットメーカーは大台到達に挑む。

 あと1本。第1試合の8回2死、イチローが打席に立つと、球場全体から「イチロー・コール」が起こった。立ち上がるファンもいた。普段はクールな男も「これだけ(日米通算4000安打を)知ってくれていることにビックリしたし、うれしいし、なかなかニューヨークでこういうことってないから」と感慨深げに振り返った。

 3回に三塁線を破る二塁打を放つと7回に中前打。2試合連続マルチで一気に王手をかけた。8回は一ゴロに倒れたが「僕がニューヨークで打ったヒットなんて数えるくらいしかない。彼ら(地元ファン)にとって重要かどうかは疑問じゃないですか。なのに最後、ああいうふうに」と日本で重ねた1278安打も含めてファンが認めてくれたことがうれしかった。

 相手が左腕投手のため先発を外れた第2試合は同点の9回に代走で登場。1死二塁から三盗を決めて、ニックスのサヨナラ打でホームを踏み「(盗塁は)走らないと本当に何もやらないことになってしまう。それで、行こっかな、と」。大台達成はお預けとなったが、足で勝利に貢献した。

 現在、自宅には大リーグ関係者から贈られたというタイ・カッブのサイン入り写真が飾られている。長いメジャーの歴史でもピート・ローズ(4256安打)とカッブ(4189安打)しか4000安打に届いていない。「球聖」カッブとは、これまでもさまざまな記録で比較されてきた。

 この日、米メディアの取材を受けた際、イチローが何度かカッブらの歴史が展示されている野球博物館に足を運んだことについて「そもそもアメリカでこの競技は始まったわけだから、自分がいろんな数字と関わることで、過去の人たちのことを知りたいと思うのは、普通の人間の欲だと思う」と熱く答えた。米野球殿堂も本人とヤ軍に偉業達成時の道具などの提供を打診している。

 さあ、あと1本。21日の相手先発は苦手のディッキーだが、節目を前にイチローは「打たなきゃいけない、と思っているのは毎回です。僕がどれくらいそういうことを経験してきたか」と苦笑い。大記録の重圧も楽しむかのような口調で、歴史に名を刻もうとしている。

 ≪ルー・ゲーリッグに並んだ≫イチローは第1試合の2安打で大リーグ通算2721安打となり、ヤンキースの往年の強打者、ルー・ゲーリッグに並んだ。メジャー歴代では59位となる。

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