イチロー4の0…200安打ピンチ!?

[ 2010年8月3日 06:00 ]

ツインズ戦の1回、第1打席へと向かうマリナーズのイチロー。この試合4打数無安打だった

 【マリナーズ0-4ツインズ】マリナーズのイチロー外野手(36)が1日(日本時間2日)のツインズ戦で4打数ノーヒットに終わった。球宴後の後半戦18試合は7試合で無安打など打率・213と低迷。年間安打ペースは「204」を保つが、残る56試合を後半戦の打撃ペースでいけば年間183安打止まり。10年連続200安打という自身が持つ大リーグ記録の更新も危機を迎えた。さらに信頼するドン・ワカマツ監督(47)に更迭論が起こるなど、取り巻く状況は厳しい。

【試合結果


 安打量産機のバットは、月が替わっても湿ったままだ。2打席目の3回はバント安打を試みたが、捕ゴロ。5回2死一、三塁の先制機では外角低めのスライダーを引っかけ投ゴロに倒れた。8回の最終打席も外角高めのボール球に手を出し、空振り三振。敵地ファンの歓声の中、イチローは硬い表情でベンチへ引き揚げた。

 チームも18連戦を締める7試合の遠征に全敗。天才打者に何が起きているのか。ワカマツ監督は最終打席の打撃から、主軸打者不在、打線全体の不振からくるスイングの狂いを挙げた。

 (1)ボール球の多投
 「去年に比べボール球を投げられる割合が増えている。それに手を出さざるを得ない状況。チームに3割打者は彼だけだし、相手もイチローさえ抑えればいい状況だ」。元来、ボール球でも安打エリアへ運ぶ抜群の技術を誇る。それを逆手に取ったしつこいボール攻め。「ファウルが例年になく多いのもその証拠だ」と同監督は付け加えた。四球よりも安打を狙う積極的な打撃スタイルのため、ボール攻めの中でスイングを崩してしまっていると指摘した。

 (2)過酷日程
 中日時代に3年連続首位打者に輝いたパウエル打撃コーチは「技術的よりも、先月は彼に過酷だった」と肉体的な負担を口にする。マ軍は球宴前が19連戦で、後半戦は開幕からこの日まで18連戦。加えてイチローはチームでただ一人球宴に出場した。後半戦は変化球に崩されるより、150キロを超す速球に差し込まれるケースが目立つ。速球に対する打率は昨年まで3年間の・363から、7月は・247へ下降。盗塁も月間3個と減っており、体から切れが失われている。

 シーズン前には「200安打とか、数字への意識はしない」と語ったイチロー。プレーオフ進出が絶望的な中で後半戦を迎え、こう話した。

 「春の段階でそれを発言したんですけど、それも当然チームが勝つという前提。その時思い描いていた状況とは違うわけですから、単純にそうであっていいのかどうか。(数字への意識は)当然しないといけない」

 200安打には残り56試合で66安打。過去9年と比べ8月1日時点での安打数は最も少なく、最大のピンチに違いない。地元メディアはワカマツ監督の更迭論を展開するなど周囲も騒がしさを増してきた。それでも、数々の壁を打ち破ってきたイチローのバットなら不可能はない。

 ≪三振ペースは自己ワースト≫ボール攻めからくる打撃の狂いは三振増に表れている。この日で今季60三振となり、年間では07年の77三振を超す自己ワーストの92三振ペース。特に7月は31日に3年ぶりの3打席連続三振を喫するなど、月間自己ワーストの20三振(うち空振りが15三振)と激増させた。7月は全大リーガー最多の28試合126打席、球宴も含めれば29試合128打席に立ち、疲労の頂点が続いている状態だ。

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2010年8月3日のニュース