【元横綱・稀勢の里コラム】「地位は人をつくる」一人横綱・豊昇龍の伸びしろ期待

[ 2025年3月6日 07:00 ]

1日に奉納土俵入りを披露した新横綱豊昇龍
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 角界も新横綱が誕生し、新たな時代を迎えようとしています。引退した照ノ富士と入れ替わるように、同じモンゴルの後輩・豊昇龍が番付の最高位に昇進。新横綱場所の動向が注目されています。

 横綱になると、置かれる立場や環境ががらりと変わってきます。角界の屋台骨としての自覚と責任感を求められるなか、土俵入りでは露払い、太刀持ちを従えて力強くせり上がったり、四股を踏むなどの「型」を披露。場所中は取組以外に大きな仕事が一つ増えることになります。昇進伝達式の翌日に先輩の横綱から所作などの指導を受け、場所までの1カ月で自分のものにしていきます。2月は巡業がないので、花相撲や奉納土俵入りなどで練習することになりますが、豊昇龍は物覚えがいいですね。雲竜型をそつなくこなしている印象です。

 私も8年前の初場所後に昇進しましたが、土俵入りの準備はそれほど苦労しなかったと記憶しています。1回やってしまえば、意外と覚えてしまうものですよ(笑い)。土俵入りに関しては、いろんな人の話を聞く機会もあって、双葉山さんのそんきょの姿勢の話とか、勉強になることも多かったです。春場所まで公の場で披露する機会は少なかったですが、楽しみながら、考えながらやっていました。

 昇進行事もたくさんあって慌ただしいなかで迎える新横綱場所。これまで73人中優勝はわずかに9人しかいません。私も新横綱初日はルーティンも変わってすごく緊張しました。ただし、大関時代の終盤から「これだというもの」をつかんでいましたので、土俵上に関しては不安はありませんでした。今振り返ると、あの場所は安定感抜群だった昇進前の状態よりもパワフルで充実感があった。「地位は人をつくる」という言葉もあるように、綱を締めるとグっと気持ちも入るというか、意識は変わっていました。

 豊昇龍はまだ25歳なので、伸びしろも期待できます。私の時は白鵬、日馬富士、鶴竜がいて「四横綱」でしたが、いきなり一人。相当な重圧がのしかかりますが変に意識せず、これまでのスタイルを継承していけば大丈夫でしょう。体が大きいほうでもないので、序盤5日間の戦い方が大事。ここを乗り切れれば、3代連続の新横綱優勝も可能でしょう。 (元横綱・稀勢の里)

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