霧馬山改め霧島 対応力非凡な「万能型」 この先に目指すべきは“鶴竜スタイル”

[ 2023年6月1日 04:50 ]

新大関昇進が決まった霧馬山改め霧島(前列中央)と鶴竜親方(同左)と師匠の陸奥親方(同右)=撮影・前川 晋作
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 【モンゴル6人目大関 霧馬山改め霧島 過去・現在・未来 下】相撲界には「なまくら四つ」という言葉がある。左右どちらの四つでも取れるスタイルを指すが、いい意味で用いられることは少ない。相手の四つに合わせて対応する消極的なスタイルの意味合いが強いからだ。

 日本相撲協会の公式サイトで霧島は「左四つ、寄り、投げ」と紹介されている。実際は四つはどちらでも可能で、時には突っ張りもする。過去の横綱、大関にはなかった「万能型」力士。非凡な対応力を武器に大関に上り詰めた。

 この体勢になったら無敵となる「得意の形」は名力士の代名詞である。「現状は今のままでいい」と新大関は話すが、自分のスタイルを持った方がいいという意見は好角家、親方衆から寄せられている。本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「ここが終着点ではないと思う。逆に成長の余地は十分あるとも言える」と分析。今後目指すべきスタイルとして「身近にいいお手本がいる。立ち合いの精度を磨き、圧力をかけながら素早く懐に入って差してくる鶴竜親方のような相撲を取っていくべき。そうすれば負けることも少なくなる」と指摘した。

 苦手力士をつくらないことも名力士の必須条件だ。新大関は照ノ富士にこれまで10戦全敗。常に力負けを繰り返し綱獲りへの大きな壁にもなりかねない状況だ。現役最強に対抗するには、素早い動きで主導権を握り一気に差し込む鶴竜スタイル。入門時に「横綱になりたい」と師匠の陸奥親方に打ち明けた27歳の挑戦はこれからが本番だ。(特別取材班)
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