“令和の怪物”落合が幕下V 所要1場所新十両へ、師匠の夢実現へ前進「デビュー場所は楽しかった」

[ 2023年1月20日 15:21 ]

大相撲初場所13日目 ( 2023年1月20日    東京・両国国技館 )

<大相撲初場所・13日目>風賢央(右)を突き落としで下し、幕下優勝を決めた落合(撮影・藤山 由理)
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 昨年の実業団横綱で幕下15枚目格付け出しの落合(19=宮城野部屋)が、幕下優勝を懸けた全勝対決で風賢央(23=押尾川部屋)を破って7戦全勝優勝を決めた。

 立ち合い狙い通りの張り差しで左を差したが右上手は引けず。一度取った左下手も切られたが、機を見て右から突き落とした。「相手が一瞬腰を引いたのでその時を狙った」と、まわしが取れなくても冷静に対応。「目の前の相手にできることをしっかり準備して戦ってきた結果だと思います」と一番一番白星を積み重ねた。見事な全勝優勝を飾り「素直に優勝できたことがうれしいですし、デビュー場所は凄く楽しかったです」と振り返った。

 場所後の25日に開かれる番付編成会議で正式に発表されるまでは確定ではないが、昭和以降初となる所要1場所での新十両昇進が確実視される状況に。正式に決まれば、師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)が場所前から話していた「まげ姿で昇進会見に臨みたい」という夢が現実になる。「心の中では自分が絶対(十両に)上がってやるんだと強い思いを持っていました」。小学生の頃から同親方に憧れ続けていた落合は最高の恩返しを果たせることに「凄くありがたいこと。うれしいです」と素直に喜んだ。

 この日の大一番に臨むにあたり、師匠からは「相撲だけのことを考えて“相撲バカ”になれ」とアドバイスを受けた。「昨日からこの一番だけずっと考えてきた。少し“相撲バカ”になれたかなと思っています」と、大横綱の金言を生かして優勝につなげた。

 幕下15枚目格付け出し力士がデビュー場所で全勝するのは、06年夏場所の下田(のちの幕下・若圭翔)以来史上2人目。下田は当時、新十両昇進が確実視されていたが番付運に恵まれず、当時の審判部の判断によってまさかの昇進見送り。その後ケガに泣いて最後まで関取になれなかったことから“下田事件”として語り継がれている。

 落合の新十両昇進の可能性は高いが「(新十両昇進は)まだ分からないので、また明日から次の場所に向けて稽古頑張りたいと思います」と安心せず。“令和の怪物”は既に視線を前に向けていた。


 ◇落合 哲也(おちあい・てつや) 2003年(平15)8月22日生まれ、鳥取県倉吉市出身の19歳。小4から相撲を始め、小5でわんぱく相撲全国大会準優勝、全日本小学生優勝大会3位。鳥取西中3年時に全中3位、白鵬杯優勝。鳥取城北高1年時に全国高校総体8強。2年時に全国高校選手権(元日相撲)優勝、全国高校選抜大会優勝。3年時に全国高校総体優勝、全日本選手権8強。卒業後は母校でコーチを務めながら稽古。昨年9月、有限会社野田組所属で全日本実業団選手権に出場して優勝し、幕下15枚目格付け出し資格を獲得。昨年12月、宮城野部屋に入門。1メートル79、156キロ。

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