「りくりゅう」ペア、日本勢初GPファイナルV 木原ミスに悔し涙も…SPに続きフリーも1位で歓喜の涙に

[ 2022年12月11日 04:20 ]

フィギュアスケートグランプリ(GP)ファイナル第2日 ( 2022年12月9日    イタリア・トリノ パラベラ競技場 )

メダルを手に笑顔の三浦、木原組(撮影・長久保 豊)
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 ペアで初出場した昨季世界選手権2位の三浦璃来(20)、木原龍一(30)組(木下グループ)がフリーで136・50点をマークし、合計214・58点で日本勢初優勝を果たした。ショートプログラム(SP)に続いてフリーも1位で、世界選手権覇者の米国ペアを抑えた。“りくりゅう”の愛称で親しまれる結成4季目の2人が、新時代の扉を開いた。

 悔し涙が、歓喜の涙に変わった。演技を終え、3回転サルコーでミスをした木原はキスアンドクライで泣いていた。「これはちょっとキツいかな…。ごめん」。そう三浦に声をかけた。だが、良い意味で予想は裏切られ、世界選手権で敗れた米国ペアを1・30点差上回り日本勢初制覇。2人で抱き合い、号泣した。

 三浦「私もミスがあったので、申し訳ない気持ちがあって不安だった」

 木原「2人でこういう大会に出場できるようになって、こういうプレッシャーで戦うのは初めてだった」

 GPファイナルという大舞台。初めてSP首位で主要タイトルに挑んだフリーには、経験したことのない重圧があった。「心臓のバクバクをどう抑えようかずっと考えていた」(三浦)。3連続のトーループでは三浦の回転が2回転となり、スロー3回転ルッツでは三浦が手をつきそうになった。思い描く演技はできなかったが、必死にこらえ、息を合わせたことが頂点につながった。

 昨季は北京五輪で日本の団体銅メダルに貢献し、世界選手権では準優勝。順風満帆だったが、今季の船出は厳しかった。7月のアイスショーで三浦が左肩を負傷。2カ月ほど一緒に練習できない日々が続いた。「正直、前半シーズンはケガからの復帰で“試合どころじゃない”“滑りきれるかな”というところから始まった」と木原。短い調整期間の中で、拠点のトロントで今まで以上に練習の質にこだわり、プログラムを仕上げてきた。

 強豪ロシア勢や五輪覇者が不在の絶好機で栄冠をつかんだ。男女シングルに後れを取ってきた種目で新たな歴史を刻んだ“りくりゅう”。ただ、もっと成長できることを確信しているから、現状に満足はしない。

 三浦「練習の積み重ねを演技の自信に変えられること。それが自分たちの今シーズン前半戦の成長だと思う」

 木原「扉を開いたのは凄くうれしいけど、今シーズンが僕たちの終わりじゃないし、スケート人生は続くので。まだまだやめないです(笑い)」

 新しい景色を追い求め、2人は立ち止まることなく挑戦していく。

 ◇三浦 璃来(みうら・りく)2001年(平13)12月17日生まれ、兵庫県出身の20歳。5歳の時にディズニーアニメをきっかけにスケートを始める。ペア転向後は市橋翔哉と17~19年の世界ジュニア選手権出場。カナダを拠点に木原と組んで4季目。北京五輪で団体銅メダルに貢献し、個人で日本勢初の五輪7位入賞。空手経験があり、得意技は回し蹴り。1メートル46。

 ◇木原 龍一(きはら・りゅういち)1992年(平4)8月22日生まれ、愛知県出身の30歳。「元気すぎて母が困っていた」ため4歳からスケートを始める。シングルで11年世界ジュニア選手権代表。13年の転向後は高橋成美と14年ソチ、須崎海羽と18年平昌両五輪に出場。三浦とのベストはSP78.25点、フリー141.04点、合計216.16点。1メートル74。

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