新添左季 銅メダルも笑顔なし 金獲れず…「トータルとしてまだまだ」

[ 2022年10月11日 04:49 ]

柔道世界選手権第5日 ( 2022年10月10日    ウズベキスタン・タシケント )

女子70キロ級で3位となり、銅メダルを手に笑顔の新添左季
Photo By 共同

 2人が初出場した女子70キロ級は、新添左季(26=自衛隊)が3位決定戦でミリアム・ブトケライト(ドイツ)を破り、銅メダルを獲得した。同階級は東京五輪金メダルの新井千鶴が引退。未完の大器が表彰台を死守し、後継者に名乗りを上げた。田中志歩(24=JR東日本)は3位決定戦で負傷棄権し5位。また男子90キロ級で初出場の増山香補(こうすけ、23=パーク24)は2回戦で敗退し、男子は大会5日目で初めてメダルを逃した。

 最低限のメダルにも、笑顔はなかった。3回戦で19年女王のゲイエ(フランス)、準々決勝は東京五輪銀のポレレス(オーストリア)を撃破した新添だが、準決勝で同じ左組みのツブエトコの圧力に屈し指導3で反則負け。3位決定戦は技でポイントを奪うも指導2と後のない状況に追い込まれる内容で「喜べる結果ではない。トータルとしてまだまだ」と語った。

 実績面で他階級の2番手選手に劣り、4月の強化委員会では多くの異論も出た新添の代表選出。「苦しみながらも相手を投げて勝ったことは評価したい」と話した増地克之監督も、2人が出場しただけに「確実に金メダルを獲りたかった」と厳しい表情。新添は「自分自身の柔道と向き合って頑張りたい」と、さらなる成長を決意した。

 ≪右膝ひねり負傷…田中は途中棄権≫田中は3位決定戦の2分ごろ、ファンダイケの足技をこらえた際に右膝をひねり負傷。歩くのも精いっぱいの状況で試合を再開したが、防戦一方で無念の途中棄権。相手に抱えられて畳を下りた。昨年12月に体重無差別で争う全日本女子選手権を制し、年明け後も国内外で2連勝。躍進を遂げたが決め手に欠ける課題を露呈しメダルに届かず。負傷の本人は取材に応じず、増地克之監督は「体調不良で最後は疲労が見えた」と指摘した。

 ≪増山力尽く…男子90キロ級≫05年を最後に日本勢の優勝がない鬼門階級で、増山も世界の壁に阻まれた。東京五輪王者のベカウリと対戦した2回戦、得意の背負い投げが封じられ、技あり2つを奪われ敗退。「思った以上に強かった。自分のパターンまでもっていくことができなかった」と力差を認めた。階級全体の底上げは急務で、鈴木桂治監督も「増山は何もできずに負けてしまった。90キロ級は技術だけでは通用しなくなった。作戦、戦略を考え直さないといけない」と厳しい表情だった。

続きを表示

2022年10月11日のニュース