NBAサンズのサーバー・オーナーがチームを売却へ 差別発言への批判の中で苦渋の決断

[ 2022年9月22日 08:23 ]

サンズとマーキュリーを売却すると発表したサーバー・オーナー(AP)
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 昨年11月に職員に対するセクハラ、パワハラ、さらに黒人に対する差別用語(Nワード)を使っていたとして糾弾され、1年間の資格停止処分と1000万ドル(約14億4000万円)の罰金を科されたNBAサンズとWNBAマーキュリーのロバート・サーバー・オーナー(60)が21日、どちらのチームも売却する手続きを開始したと発表。「道義的には償って許しを請う道があると信じている。1年間という処分期間の中で、私が愛しているチームとファンから、私個人の問題を排除できると思っている。しかし現在の状況を考えると、残念ながら私が何をしてもそれが不可能なのは明らか。過去に口にしてしまった事柄が重くのしかかっている。これらの理由により、私はサンズとマーキュリーの買い手を探すプロセスを開始した」という声明をリリースした。

 10カ月におよぶ調査を吟味してアダム・シルバー・コミッショナー(60)よる処分が科されたのは今月13日。しかしレイカーズのレブロン・ジェームズ(37)やサンズのクリス・ポール(37)らはこの処分を“甘すぎる”と批判していた。AP通信によれば、ジェームズは「絶対に間違っている。彼(サーバー)のような人物に居場所はない」と永久資格停止処分としなかったリーグ側の方針に疑義を唱え、ポールは「とても受け入れられるものではない。私は処分が十分ではないという見解を持っている中の1人だ」と批判していた。

 シルバー・コミッショナーは「今回の一件はそのほとんどが映像としては残っておらず、職員の中には擁護派もいる。もし(サーバー・オーナーが)明確な差別意識を持ってその用語を使ったのなら違う処分になっただろうが、調査結果はそうではない。したがって私に彼を追放する権利はない」と語っていたが、その一方でチームの売却を勧めており、同じく黒人に対する差別発言で永久追放となってチームを売却したクリッパーズのドナルド・スターリング元オーナー(2014年)と、結果的には同じ方向に進むことになった。

 不動産ビジネスなどで財を築いたサーバー・オーナーは2004年にサンズを当時の最高額だった4億100万ドル(当時のレートで約420億円)で買収。しかし2020年10月にユタ州ソルトレイクシティーを本拠にしているジャズは16億6000万ドル(約2400億円)、21年7月にはミネソタ州ミネアポリスに本拠を置いているティンバーウルブスが15億ドル(約2200億円)で売却されており、NBAチームの買収額は高騰を続けている。

 経済誌フォーブスによればサンズの評価額は18億ドル(約2600億円)。サーバー・オーナーは売却希望価格については言及していないが、アリゾナ州フェニックスに本拠を置き、20年シーズンのファイナルに進出しているサンズの売却を巡っては、ジャズやティンバーウルブスを上回る額になるのではないかと見られている。

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2022年9月22日のニュース