【二所ノ関親方 初場所総括】15日間攻め続けた御嶽海 額から出血も意地と根性見せた豊昇龍

[ 2022年1月25日 05:30 ]

千秋楽、御嶽海(左)に敗れて優勝を逃した照ノ富士
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 スポニチ本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は“新大関”御嶽海に期待を込め、初場所を総括した。

 私を含めて6年連続で初優勝力士が誕生した波乱含みの場所。御嶽海の良さだけが目立ちました。場所前の展望などで「自分から、自分から」とアドバイスしましたが15日間攻め続け、そして攻めきりました。

 印象に残ったのは13日目の阿炎戦です。「自分から」の気迫を感じましたし、今までの悔しさを晴らすかのような会心の勝利。スカッとしたというか、私を晴れやかな気持ちにさせた一番でした。独特の体の寄せ方に加え、かいなを返しながらの押し方も独特なものがある。力士は30歳前後が一番力を出せる時期。これからの成長も楽しみです。まだ番付は上があります。一番強い大関が横綱になる。常に東の正大関に位置することを心掛け精進してもらいたいです。

 3連覇を逃した照ノ富士は終盤失速しましたが、最後まで優勝争いに絡みました。個人的にはよくやったと思います。膝の状態は気になりますが、万全なら春場所も優勝候補の筆頭であるのは間違いありません。

 貴景勝と正代はともに春場所でカド番となります。正代には期待しているぶん、残念な気持ちです。せっかくの左四つの型を持ちながら、生かし切れない。立ち合いもワンパターンなので相手は自信を持って当たってくる。相手の力を出させないのも相撲。同じことだけをしていては、同じ過ちを繰り返します。厳しい意見も期待しているからこそ。ここで踏ん張らないと。

 若手では豊昇龍の奮闘が目につきました。14日目の正代戦は負け相撲を驚異的な足腰の粘りで取り直しに持ち込んで、勝利。顔から落ちて額を真っ赤にさせてもひるまない、意地と根性を見せてもらいました。今後が本当に楽しみです。(元横綱・稀勢の里)

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