【ラグビー日本代表2021秋の陣《11》】10番を獲りに行く松田力也 ベンチウオーマーの屈辱を力に

[ 2021年10月20日 18:00 ]

SO松田力也
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 8人のリザーブを含む23人で試合をどう組み立て、最終的に相手のスコアを上回るか。現代ラグビー、とりわけテストマッチのようなハイパフォーマンスの試合では、8人を使い切ることが常道だが、時として21人、もしくは22人で80分間を乗り切ってしまうことがある。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが指揮を執る日本代表では過去に4度、リザーブを使い切らない試合があった。SO松田力也(27=埼玉パナソニックワイルドナイツ)はそのうちの2試合で、屈辱を味わった。

 今年6月の全英・アイルランド代表ライオンズ戦。23番を付けて戦況を見守り、ウオーミングアップもこなして出番を待った松田だが、ピッチに入ることなく敗戦を迎えた。1週間後のアイルランド戦も、先発の田村優と入れ替わったのは後半27分。名前を呼ばれたのは、8人で一番最後だった。「ツアーは納得することができない結果だった。プレータイムが少なかったので」。試合以外では穏やかな表情でいることが多いが、沸々と煮えたぎる思いを胸にオフを過ごし、この秋も代表招集を受けた。

 5月に閉幕したトップリーグでは、同い年の山沢拓也とポジションを分け合いながら、チームをタイトルへ導いた。より多くの試合、そして重要な試合で10番を付けたのは松田の方だ。「トップリーグは満足できたシーズンで、自分の成長を感じたし、いいパフォーマンスを出せた」。かつては元オーストラリア代表のベリック・バーンズに阻まれ、12番でのプレーが多かった。「松田は10番でのプレータイムが足りない」。19年W杯前、ジョセフHCはよくそう言って、田村の10番起用を説明した。

 だからこそ、この春は田村と同量の機会を得て、23年W杯の10番を争いたいとの思いは強かったはずだが、ヒエラルキーを覆すことはできなかった。「ジョセフHCからのフィードバックで、パフォーマンスは悪くなかったと言われた。ゲームタイム(の少なさ)は試合の流れがあったと説明を受けた。でも、試合の流れを変えてる力があったら、もっと出られたと思う」。15人の頭脳であり、心臓でもある10番。プレースキックやランスキル、ディフェンス力など、田村より優れたところはありながら、テストマッチという比肩するものなき超高度のプレッシャーが掛かる中では、まだ総合力と信頼度で及ばない。「チームメートからの信頼を積み重ねがないと、10番で試合に出られない。練習からコミュニケーションを上げたい。ゲーム理解ももっと上げないといけない。積極的にいきたい」。突きつけられた課題から逃げず、しっかり向き合えるところは、松田の長所でもある。

 秋のテストマッチは4試合。オフは大自然の中で心身を休める一方、堀江翔太と共にトレーニングに打ち込んだ。宮崎で始まった3週間超の合宿で、レベルアップを証明していれば、いくつかの試合は10番を背負うことになるだろう。そこでチームを勝利に導けるか。勝負の時がやってくる。

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