近大 QB清水の2TDパスで神戸大を撃破 エースが「葛藤」を乗り越え、勝利へ導く

[ 2021年10月3日 05:30 ]

関西学生アメリカンフットボール1部リーグAブロック   近大17―10神戸大 ( 2021年10月2日    王子スタジアム )

<神戸大・近大> 3Q、自ら敵陣に攻め込む近大・清水(左)(撮影・亀井 直樹)
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 近大QB清水大和(3年)は、少し勇んで、オフェンスの輪に加わった。第1Q終了間際に訪れた2度目の出番。それまで同学年のライバルQB中井琉来愛(るくあ、3年)のプレーをベンチで凝視していた。

 「大事な局面で任せるから、と言われていて。やっと出られる、と燃えました」

 昨年までは絶対的エース。自分がプレーコールをかけるのは、当たり前のことだった。それが一変したのは神戸大戦の1週間前。「先発は中井でいくから」と首脳陣から告げられた。相手ディフェンスの長所を消すため、中井のパスを生かす戦術的な理由があった。

 説明を受けて納得はできても、踏ん切りはつかない。気持ちのベクトルがチームの勝利へ向かうまでに3日を要した。

 敵陣39ヤードからの攻撃。いきなりWR乙黒幸太(3年)に17ヤードパスを通し、リズムをつかんだ。投げて走ってドライブを進め、第2Q1分23秒、WR梅本知宜(2年)に5ヤードの先制TDパスをヒットさせた。

 「WRを信じて、思い切り投げました」

 中井が小気味いいミドルパスで攻撃のリズムを作り、敵陣深く攻め込んで清水の勝負強さに託す――。近大の描いたゲームプランは見事にはまった。清水は第2Q11分13秒にも3ヤードTDパス。自慢の足でなく、課題のパスで2本のTDをもぎ取ったあたりに、背番号0の意地が見える。

 「2年連続で神戸大に負けていて、自分の責任も感じていたし、どうしても勝ちたかった」

 振り返る顔には、フォア・ザ・チームで白星へ導いた達成感があった。次戦は立命大戦(16日)。有観客が清水のモチベーションを高める。

 「やっぱり、お客さんが入る方が燃える。立命大も倒して優勝したい」

 もう、起用法への「こだわり」など、頭の片隅にもない。与えられた場所でベストを尽くし、清水が「近大復活」の象徴となる。

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2021年10月3日のニュース