白鵬の引退と年寄「間垣」襲名、異例“誓約書付き承認”…現役時代の問題行動鑑み協会がくぎ

[ 2021年10月1日 05:30 ]

白鵬
Photo By 共同

 日本相撲協会は30日、都内で定例理事会を開き、現役引退を申し出ていた大相撲の第69代横綱・白鵬(36=本名・白鵬翔、モンゴル出身、宮城野部屋)の引退と年寄「間垣」の襲名を承認した。史上最多45度の優勝、通算1187勝など数々の史上1位記録を樹立したが、現役時代の問題行動を鑑み、年寄として協会規則を守るなどの誓約書にサインした上での異例の承認となった。1日午後に東京・両国国技館で引退会見を行う。

 大横綱の節目と思えない重苦しい雰囲気が漂った。理事会では過去の問題行動を踏まえ、極めて異例の誓約書に署名した上での襲名が認められた。理事会後に白鵬と面談した年寄資格審査委員長の今井環外部理事(元NHK理事)は横綱の様子について「神妙な顔だった。よくうなずいて話を聞いていた。“一生懸命やります”と話していた」と明かした。誓約書には先輩親方の指導をよく聞くことや、相撲界のしきたりから逸脱するような言動を行わないことなど、くぎを刺す内容が含まれていた。

 白鵬は19年春場所千秋楽で優勝インタビューの最後に観客とともに三本締めをして、けん責処分を受けるなど言動が何度も批判を浴びた。協会によると、今年5月の名跡継承の際に年寄資格審査委員会から言動について忠告したが、7月の名古屋場所千秋楽で派手にガッツポーズしたり、無観客開催の東京五輪を観戦に訪れたりしたことが問題視された。29日の審査委では「10年間は部屋付きの親方として親方業を習熟すべき」など厳しい意見が続出したという。

 外部役員の一人は「立場が高ければ高いほど、小さな問題も大きくなる。これまでのことを踏まえ、協会幹部はかなり慎重に考えていた」と述べ、別の役員は「あれだけの功績がある方を年寄にしないわけにはいかないでしょう」とつぶやいた。今後破られそうにない数々の金字塔を打ち立てた功績は全く称賛されず、屈辱ともいえる条件付きの襲名。土俵に君臨した第一人者の新たな船出は厳しいものとなった。

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2021年10月1日のニュース