18歳・ラドゥカヌ 予選から初の女王、英国勢女子は44年ぶり4大大会制覇

[ 2021年9月13日 05:30 ]

テニス 全米オープン第13日 ( 2021年9月11日    ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

全米オープン女子シングルスで初優勝したラドゥカヌ(右)と準優勝のフェルナンデス(AP)
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 ノーシード同士の10代対決となった女子シングルス決勝は、世界ランキング150位のエマ・ラドゥカヌ(18=英国)が同73位のレイラ・フェルナンデス(19=カナダ)を6―4、6―3で破り、ツアー初優勝を4大大会初制覇で飾った。予選3試合を含む今大会全10試合ストレート勝ちで、予選突破者の優勝は女子では初めて。女子英国勢の4大大会制覇は77年ウィンブルドン選手権のバージニア・ウェード以来44年ぶりとなった。優勝賞金は250万ドル(約2億7500万円)。

 サービング・フォー・ザ・マッチとなった第2セットの第9ゲーム。相手ボールを追ったラドゥカヌはコートでこすった左膝から出血した。冷静にメディカルタイムアウトを取り、30―40から盛り返すと、最後はエースでフィニッシュ。コートに仰向けになり、両手で顔を覆った。

 「夢見ていた瞬間だったけど、実際に勝っても信じられない」

 3回戦で大坂なおみを破るなど快進撃を続けてきたフェルナンデスにもストレート勝ちした。第1セットは得意のリターンで、第10ゲームでブレークに成功。第2セットはブレークを許して1―2となってから、2度のブレークを含めて4ゲームを連取した。強打に加え、先日まで高校生だったとは思えない冷静な試合運びが際立っていた。

 今年初めの世界ランキングは345位。主催者推薦で4大大会デビューしたウィンブルドン選手権は4回戦で呼吸困難になり棄権したが、ファッション誌でインタビューが組まれるなど状況が一変した。それでも「コート外のことを排除し、自分の仕事に集中した」と強いメンタルで頂点に立った。エリザベス女王が「こんなに若い年齢での偉業で、努力と献身のたまもの」と祝辞を贈るなど英国は若きヒロイン出現に大フィーバー。大坂が休養を示唆する女子テニス界を今後、引っ張る存在となりそうだ。

 ◇エマ・ラドゥカヌ 2002年11月13日生まれ、カナダ・トロント出身の18歳。父はルーマニア、母は中国出身で、ともに金融業界勤務。2歳で英国に移住し、5歳でテニスを始めた。幼少期はゴーカートやバレエ、乗馬なども習い、今年、英国の大学入試に相当する「Aレベル」を受験した。18年にウィンブルドン選手権と全米オープンのジュニアで8強入り。1メートル75。

 《フェルナンデスの快進撃ストップ》フェルナンデスの進撃が止まった。物おじしないプレーで大坂、ケルバー、スビトリナ、サバレンカと強敵を次々に撃破してきたが、ラドゥカヌの強力なリターンに手を焼き、主導権を握れなかった。ラドゥカヌがメディカルタイムアウトを取った場面ではタイミングに抗議するなど、強気な面ものぞかせた19歳は「いい選手だった」とライバルを称える一方、「次は(優勝)トロフィーを手にする」と涙でリベンジを誓った。

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