ソフトボール・上野 2戦連続の先発「いっぱいいっぱい」でも10K 終始笑顔で過ごした39歳の誕生日

[ 2021年7月23日 05:30 ]

東京五輪 ソフトボール   日本3ー2メキシコ(8回タイブレーク) ( 2021年7月22日    福島県営あづま球場 )

<日本・メキシコ>試合前の整列で笑顔を見せる上野(中央)(撮影・会津 智海)
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 苦笑いの誕生日だ。2戦連続で先発し、6回0/3で121球を投げ、10三振を奪った上野は「体がいっぱいいっぱいだった。39歳をリアルに感じて投げた」とヘトヘトだった。

 中盤までは、年齢を全く感じさせない、凄みがある投球だった。緩急自在で制球力は抜群。4回終了で12個のアウトのうち、9個を三振で奪った。しかし、蒸し暑い天候にスタミナを奪われた。

 「後半に疲れることをリーグ戦でも感じていた。暑い中での試合も久しぶりだし」

 5回に同点ソロを被弾。最終7回は、「代えてほしかった」と体力が限界に達した。だが、言えなかった。「(宇津木監督は)私が誕生日だから、最後まで投げさせたかったんだろうなって。思いが伝わってきて、その期待に応えたかった」。初戦でカナダに敗れて後がないメキシコの気迫にも押され、四球と連続安打で1点のリードを守れなかった。無死一、二塁でマウンドを後藤に譲った。

 39年前の82年7月22日に生まれた。由岐子の名前には、「山を支えるような人間に」という願いが込められた。実際、人を支える役目を買って出るタイプに育った。九州女高(現福岡大若葉高)で3年間担任をした同校の池田憲二教頭(57)の言葉から、素顔の一面が伝わる。

 「一番重い道具を持って、一番最初にグラウンドに出ていた。主将になっても、下っ端の仕事を率先していた。そんな生徒でした」

 自分の力だけで勝つことよりも、全員でつかんだ勝利に、これまでも価値を見いだしてきた。この日は2度のリードを守れなかった悔しさを見せることなく、終始明るい表情のままだった。後輩が投打で活躍したことを「いい試合ができた。これで勢いが出る」と喜んだ。好投した開幕戦の勝利よりも、笑顔、笑顔だった。

 《藤田祝砲狙った、2戦連発》藤田が2試合連続本塁打でチームを勢いづけた。2回1死で内角低めの変化球を、右肘を畳みながら捉えると打球は一直線に左翼フェンスを越える先制ソロとなった。「狙っていた球だったので思い切り振り抜くことができた」としてやったりの表情だった。過去の対戦から狙い球を絞って打席に向かったという。上野の39歳の誕生日だったこともあり「バースデーアーチを狙っていた」とバットで先輩を祝福した。

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