輝、コロナで死去の兄弟子・勝武士さんにささげる一周忌星「今日は負けたくないと思いました」

[ 2021年5月14日 05:30 ]

大相撲夏場所5日目 ( 2021年5月13日    両国国技館 )

剣翔(左)を引き落としで破る輝(撮影・西尾 大助)
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 平幕・輝が弔い星を挙げた。新型コロナウイルスに感染した三段目・勝武士さん(本名末武清孝、高田川部屋)が28歳で亡くなって1年。弟弟子にして部屋頭が必勝を期した命日に剣翔を引き落とし、2勝目を挙げた。若隆景を寄り切って5連勝とした照ノ富士を、貴景勝や正代ら1敗の8人が追っている。

 勝利への思いを足運びに示した。腰の重い剣翔の前進に一歩も引かない。輝が長身を折り、低い体勢から突いて出た。右から突き落とすと190キロが前へ落ちた。

 「今日は負けたくないと思いました」。勝武士さんの死去から1年。朝稽古の午前7時、部屋全員で黙とうをささげた。部屋頭の輝自ら「兄のよう」と慕う存在にささげる白星だった。角界初、20代の死亡例としても注目を集めた。悲嘆の一方、私生活では自粛を迫られ「今までにない一年でした」。その渦中で「正々堂々、真っ向勝負で攻め勝つ相撲を取りたい」と自らの相撲を見つめ直した。

 「みんな、勝武士とともにいると思っている。(力士は)恥ずかしくない相撲を取ってほしい」。師匠の高田川親方(元関脇・安芸乃島)が慎重に言葉を選んだ、大切な一日。十両・白鷹山が「勝武士さんの魂はいつも僕たちを見守っていると思うので、これからも頑張っていきたい」と述べたように、思いは部屋の力士に共有されていた。

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