NHLでワクチン格差 米国では接種が進むもカナダの7チームは未接種

[ 2021年4月9日 13:31 ]

ニューヨークで接種を受けるレンジャーズのDFジェイコブ・トルーバ(AP)
Photo By AP

 北米アイスホッケーリーグ(NHL)に所属する31チーム中、今季だけカナダに本拠を置くチームだけで編成された「ノース・ディビジョン」の7チームの選手たちが“ワクチン格差”の窮状を訴え始めた。

 AP通信が報じているもので、米国ではすでに全国民の3分の1が少なくとも1回の接種を終えているため、オハイオ州コロンバスに本拠を構えるブルージャケッツや、感染急増が社会問題となっているミシガン州デトロイトを本拠にしているレッドウイングスなどは選手やスタッフの半数以上が接種を完了。しかしワクチン製造能力を持たないカナダでは米国出身の選手であってもカナダ国内だけでシーズンを消化しているために接種を受けられず、マニトバ州南部のウィニペグをホームにしているジェッツのGKで、米ミシガン州出身のコナー・ヘラバック(27)は「米国で(ワクチン接種)が進んでいることはとてもいいこと。当然、カナダでもそうあってほしいと思う。ところがそうではないところが理解できない」と窮状を訴えた。

 西海岸のブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーを本拠にしているカナックスでは8日現在でほぼチーム全体とも言える21人の選手と4人のスタッフの感染が判明。3月31日からすでに5試合が延期となっており、その後の試合も開催へのメドが立っていない。

 NHLではカナダと米国を行き来した場合にはカナダで自主検疫が必要になるために、そのロスを減らすためにカナダに拠点がある7チームだけで今季だけの「ノース・ディビジョン」を創設。リーグの感染防止規定の対象者は3月31日までは1361人中103人とカナダは“少数派”だったが、4月1日以降では160人中138人を「ノース・ディビジョン」が占めており、8日は25人中23人。バンクーバーでは変異ウイルスの感染拡大が問題になっているだけにワクチン接種は米国以上に必要なのだが、その体制が整っていないのが現状だ。

 なお82試合から56試合に短縮された今季のNHLのレギュラーシーズンは5月中旬で終了。その後プレーオフがスタートして王者を決めるスタンレー杯決勝は7月に開催されるが、まだ具体的なタイムテーブルは発表されていない。

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2021年4月9日のニュース