羽生結弦“闘う芯”届けた「天と地と」 今季世界最高で5年ぶり日本一

[ 2020年12月26日 21:42 ]

フィギュアスケート全日本選手権第2日 ( 2020年12月26日    長野市ビッグハット )

<全日本フィギュアスケート選手権第2日>男子フリー、演技をする羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 男子で14年ソチ、18年平昌と五輪連覇の羽生結弦(ANA)が、日本の頂に帰ってきた。フリーで215・83点をマークし、合計319・36点で5年ぶり5度目の優勝。新型コロナウイルスの猛威が収まらない中、葛藤を抱えて出場を決断した国内最高峰の舞台で、最高の演技を披露した。

 「練習してきたことをしっかり信じて、体の感覚を信じて、やりきれたのは大きい」

 着物風の衣装に身を包み、新フリー「天と地と」を舞った。“軍神”と称された戦国武将・上杉謙信が主役のNHK大河ドラマからのチョイス。「今、この世の中、闘わなきゃいけないことたくさんありますけれども、何かみなさんの中にちょっとした芯みたいなものが、闘う、向かっていく芯みたいなものが見えたら良かったなという風に思います」。和の音色とともに、しなやかな“軍神”が氷上に降臨した。

 冒頭に4回転ループを鮮やかに決めると4回転サルコー、トリプルアクセル―2回転トーループ、3回転ループ、演技後半にトーループの4―3回転、4回転トーループ―1回転オイラー―3回転サルコー、トリプルアクセルとジャンプは全て成功。両手を突き上げてフィニッシュすると、派手なガッツポーズはなく静かに浸っていた。

 国内大会とはいえ、合計319・36点は最大のライバル、ネーサン・チェン(米国)が10月のスケートアメリカでマークした299・15点を上回る今季世界最高得点。フリーの215・83点は国際連盟(ISU)公認ではないが、ISU自己ベストの212・99点を超えた。

 22年北京五輪の出場枠が懸かる、21年3月の世界選手権(スウェーデン)代表にも決定。「まあ、世界選手権、やれればなんですけどね。もちろん、とにかく、なによりも世界が早く平穏が戻って、僕自身も平穏な暮らしをしたいなというのが今の率直な思いです」。王者は、柔らかな表情を浮かべていた。

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