華麗なる射撃一族 クレー射撃を担うパリの星 折原梨花の夢

[ 2020年11月17日 08:30 ]

試合に臨む折原
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 クレー射撃スキート女子の折原梨花(23=林テレンプ)は父との二人三脚で、次世代の射撃界を担うホープだ。東京を逃した涙をバネに、4年後のパリに向かって新たなスタートを切った。

 夢舞台まで、あと一歩が遠かった。昨年11月に行われたアジア選手権(ドーハ)で、折原は東京五輪代表に決まった石原奈央子(46=古峯神社)と直接対決し、敗北。試合後も1週間滞在したが、気持ちは全く休まらなかった。

 「代表になりたいって気持ちが強すぎた。ダメだったって分かっているのに、諦めきれない感じ。受け入れるのに時間がかかりました」

 それでも、今は前を向いている。10月24、25日に神奈川・伊勢原射撃場で行われた全日本選手権に出場。男女混合で行われ、予選5ラウンド中2回満射(全射命中)。全体3位で決勝に進み、6位に入った。東京の切符を争った石原を抑えて女子最高位に輝いたが、「切り替えて4年後のパリを目指している。今回はたまたまだし、調子に乗らないで次からも丁寧にプレーしていきたい」と謙虚な姿勢を見せた。

 祖父の代から続くクレー射撃一族。栃木・那須に祖父が作り、全日本選手権10度優勝の功績を持つ父・研二さん(47)が管理する射撃場を拠点に、練習を積み重ねている。18年のアジア大会(ジャカルタ)では親子出場で注目を集めた。

 小さい頃から射撃場周辺の川や山で遊び、銃声やクレーの割れる音を聞きながら成長。研二さんの練習する姿を見て、「クレー射撃を絶対にやる!」という思いを持ち続けた。日本クレー射撃協会の推薦で通常より2年早い18歳から銃所持の免許を取得するまでは、固定された紙標的に弾を発射するライフル射撃部がある高校で腕を磨いた。3年時に出場した国体では、ビームライフル射撃2種目で優勝。満を持して始めたクレー射撃は、今年で5年目になる。

 折原にとって理想の選手は、1番身近にいる研二さんだという。私生活では思ったことをお互い素直に言い合い、練習もほぼ一緒。試合形式で勝負する日もある。「対戦成績は半々か、パパの方がちょっと上くらいです。子離れしてほしいですが、選手として尊敬しています」と笑顔で答えた。対して研二さんも「梨花はもっと世界で活躍できると思う。23歳にして五輪まであとちょっとって、すごいよ」と太鼓判を押した。

 五輪は男女別で行われるが、日本国内では混合で行われる。研二さんは「女子の方がいい感じで男子に揉まれている。その中で、梨花には僕のことも全部超えちゃってほしいですね」と愛娘に期待を寄せる。その思いに、折原も応えるつもりだ。「私は男の人にも勝てるようになりたい。まずは来年の全日本で優勝を目指したい」。4年後の夏の祭典へ向け、一歩ずつ着実に進む。無限大の可能性を秘めたホープが、さらなる飛躍を目指す。(小田切 葉月)

 ▽クレー射撃スキート 2カ所の装置から1枚あるいは2枚同時に噴出されるクレー(約直径11センチ)を撃つ。決められた8カ所を移動しながら、標的となるクレーを撃ち抜いた合計得点を競う。

 ◆折原 梨花(おりはら・りか) 1997年(平9)2月21日、栃木県那須塩原市出身の23歳。幼少期から父の影響で射撃に親しみ、18歳からクレー射撃を開始。17年国際ジュニアグランプリ優勝、18年アジア大会出場。趣味は風景写真の撮影。1メートル52、55キロ。

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