【玉ノ井親方 視点】地力をつけてきた翔猿 混戦演出する面白い存在

[ 2020年11月17日 05:30 ]

大相撲11月場所 9日目    〇翔猿(はたき込み)●貴景勝 ( 2020年11月16日    両国国技館 )

はたき込みで全勝していた大関・貴景勝(下)を破る翔猿(撮影・西海健太郎)
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 貴景勝の敗因は相手を見すぎてしまったことだ。足は出ていたが、そろっていた。翔猿が何か仕掛けてくると思い、警戒しすぎたのだろう。相手に圧力が伝わらず一度引いて、再度前に出ようとするが、今度は足がついていかず前に落ちてしまった。

 もともと前に出ていなしたり、攻め込んでからの突き落としなどで勝つのが大関のスタイル。相手を見て取るタイプではない。コロナ禍で巡業や出稽古を控えなければならなくなり、他の部屋の力士との稽古を十分にできなかったのが響いた。今場所はどの力士も対戦経験の少ない相手の癖をつかみきれず、苦労している印象だ。

 その中で翔猿は白星こそ伸びていないが、大関戦のような相撲を取れるのは地力をつけている証拠。先場所は優勝争いにも絡んでおり、混戦を演出する面白い存在になりそうだ。 (元大関・栃東)

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2020年11月17日のニュース